2007/10/29

神田古本まつり、そして外市

 昨日、福岡から帰ってきて、今日は午前中から洗濯、掃除と家事をこなし、昼から神田古本まつりに行く。
 平日だと、人もそんなに多くなくて、ゆっくり本の中身をチェックしながら買える。
 二十六日から二十八日までの古書会館の即売展のほうは見れなかったけど、青空掘り出し市の品ぞろえは例年と比べていいような気がした。秋山清の『自由おんな論争 高群逸枝のアナキズム』(思想の科学社、一九七三年刊)の署名本が四百円で売っていた。ひょっとしたらたくさん客が来たとおもわれる日曜日の翌日の月曜日は狙い目なのかもしれない。

 それにしても神保町でも携帯電話で値段を調べながら古本を買う若い人も増えたなあ。あんまりいい気分ではない。ある店の均一は本を上下に積んでいるから、底のほうの本も見たかったのだが、携帯セドリ君がなかなか場所をゆずってくれない。ちょっと興ざめ。

 途中、神田伯剌西爾(ぶらじる)でコーヒーを飲む。そうそう、このあいだまでずっと「伯剌西爾」を「伯刺西爾」と書いていた。「剌・ラツ」(正)と「刺・シ」(誤)なのだけど、パソコンの字が読みにくくて自分では判読できない。

                *

 まもなく池袋往来座の第5回「外市」がはじまります。
 またわたしも参加します。今回は本と手作りのアクリルたわしを売ります。
 値段は二百円。洗剤なしでもきれいに落ちるし、スポンジたわしよりもずっと長持します。
 限定十個。早いもの勝ちです。古本の値段つけはこれから。

 今回のメインゲストは吉祥寺の古本屋さん。前回の西荻窪につづいて「おに吉」と「わめぞ」の夢の共演です。
 あと中央線沿線からは友人のインチキ手廻しオルガンのオグラさん(元・青ジャージ、800ランプ)も、CD、豆太郎グッズ、手づくりの絵本などを出品する予定。
 さっき電話したら「何もせずに寝てばっかだよ」といってました。
『オグラBOX 3枚組』(MIDI Creative)、売れるといいなあ。

第5回 古書往来座外市〜吉祥寺より愛をこめて〜
約25名参加、往来座の外壁にズラリ2000冊! 雑貨、ガラクタも販売。包丁研ぎの実演もあり。

■日時
11月3日(土)〜4日(日) 
3日⇒11:00〜20:00(往来座も同様)
4日⇒11:00〜17:00(往来座は22:00まで)
■雨天決行(一部店内に移動します)

■会場
古書往来座 外スペース(池袋ジュンク堂から徒歩5分)
東京都豊島区南池袋3丁目8-1ニックハイム南池袋1階
http://www.kosho.ne.jp/~ouraiza/

▼メインゲスト
藤井書店(吉祥寺)
百年(吉祥寺)http://www.100hyakunen.com/
バサラブックス(吉祥寺)http://basarabook.blog.shinobi.jp/

▼スペシャルゲスト
嫌記箱(塩山芳明)http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/
古本けものみち(内澤旬子&南陀楼綾繁)
ハルミン古書センター(浅生ハルミン)http://kikitodd.exblog.jp/
文壇高円寺(荻原魚雷) http://gyorai.blogspot.com/
伴健人商店(晩鮭亭)http://d.hatena.ne.jp/vanjacketei/
ふぉっくす舎 http://d.hatena.ne.jp/foxsya/
不思議(はてな・千駄木)http://higishi.seesaa.net/
やまねこ書店 http://yamaneko-bookstore.com/modules/shop/

他、お客様オールスターズ(朝/Y‘s/おんじょろ)

▼わめぞオールスターズ
古書往来座(雑司が谷)http://www.kosho.ne.jp/~ouraiza/
古書現世(早稲田)http://d.hatena.ne.jp/sedoro/
立石書店(早稲田)http://d.hatena.ne.jp/tate-ishi/
m.r.factory(武藤良子)http://www.toshima.ne.jp/~mryoko/
旅猫雑貨店(雑司が谷)http://www.tabineko.jp/
リコシェ(雑司が谷)http://www.ricochet-books.net/
kika zakka(ベトナム雑貨・雑司が谷)http://kikazakka.seesaa.net/
ブックギャラリーポポタム(目白)http://popotame.m78.com/shop/
貝の小鳥 http://www.asahi-net.or.jp/~sf2a-iin/92.html
琉璃屋コレクション(目白) 版画製作・展覧会企画
ぶくぶっくす(「buku」・池袋)http://www.c-buku.net/
退屈男(名誉わめぞ民)http://taikutujin.exblog.jp/

▼「本」だけじゃないのです!
刃研ぎ堂(包丁研ぎ) http://www1.tcn-catv.ne.jp/kai555/
古陶・古美術 上り屋敷(会場では特選ガラクタを販売)
          http://www.wakahara.com/agariyashiki/
オグラ(手廻しオルガンミュージシャン・雑貨、小物販売)
            http://www.lilyfranky.com/reg02/
こまものや(小物=バッヂ、コースターなど販売)

■主催・古書往来座
■協賛・わめぞ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/

2007/10/28

ブックオカおぼえがき

 飛行機で福岡空港から地下鉄で天神に直行して、丸善、福家書店福岡店、ジュンク堂書店福岡店をまわる。
 気温二十五度。暑い。
 福岡に行く前日に、元リブロの人と飲んでいたのだけど、「博多は日本屈指の書店激戦区だよ」といっていたのは、ほんとうだった。

 今回のブックオカの目玉のひとつである「福岡の書店員65名が選んだ激オシ文庫フェア」を見る。

 いちばんのインパクトはこれでしょう。

〈 『適当教典』高田純次(河出文庫)

 もし、高田純次が100人の村があったら……世界征服もやぶさかでない。
              丸善福岡ビル店 脊戸真由美 〉

 単行本のときは『人生教典』(河出書房新社)という題だった。わたしはこの本を読んで日当りのいい部屋に引っ越すことに決めた。人生、変わりましたよ、すこし。

 それから荷物を置きに東映ホテルへ。すぐちかくに書肆玄邑堂があった。はじめて入る古本屋は、棚が新鮮。店が細くて奥行きがあって、いいかんじだった。そのあとうどんを食う。

 しばらくホテルでくつろいでいたら、眼鏡の左側のツルのネジが折れる。
 旅先だから予備の眼鏡もない。かなり焦る。でもすぐちかくの地下街に眼鏡屋があり、無料で直してもらった。

 午後六時半からの丸善の南陀楼綾繁さんトーク「リトルマガジン・遊書日記」の前に、西新大古本まつりに行く。
 会場は、西新エルモールプラリバというショッピングセンターの七階催事場なのだが、昔、高田馬場BIGBOXの六階でやっていたときの古本市と雰囲気が似ていた。なつかしくてうれしくなる。
 天神に戻って、丸善の裏のほうの路地にある喫茶店で一息。
 西新の古本まつりでは『天神ストリート』(天神文庫、西日本新聞社)という本を買った。
 この本の中で、夏樹静子「蒸発 ある愛の終わり」、瀬戸内晴美「美は乱調にあり」、渡辺淳一「くれなゐ」、山村美紗「鳥獣の寺」、檀一雄「火宅の人」、椎名誠「モンパの木の下で 都市の貌」といった本の天神界隈の記述の抜粋が掲載されている。

《いま日本の街でもっとも活気があってイキオイがあってセンスがいいのは福岡だ》(椎名誠)

 話はそれたけど、南陀楼綾繁さんトークショーは、『プチブックレシピ リトルプレスの作り方』(毎日コミュニケーションズ)のyojohanさんもゲストで、いろいろ貴重な話を聞くことができた。

 そのあと、中華料理屋で今年のはじめごろ偶然、東京でお会いした福岡の名物(?)書店員のタカクラさんや石風社のFさん、numabooksの内沼晋太郎さん、貸本喫茶ちょうちょぼっこの福島さんたちと打ち上げ。鍋、うまかった。
 だが、場所も名前もおぼえていない。あともう一軒行って、ホテルに帰って熟睡。旅先ではよく眠れる。しかも早起きになる。

 二日目。とりあえず、荷物を天神のコインロッカーにあずけて、地下鉄で赤坂に。「おとなりキップ」というのが百円。福岡、バスも百円でいろいろまわれる。物価も安くて暮らしやすそうだ。あと地下街にもおどろいた。広い。
 駅ちかくの「レンガ」という店でコーヒーを飲む。

 けやき通りの「一箱古本市」。買った、買った、よかった、よかった、楽しかった。
 古本酒場コクテイルの常連で、今年福岡に引っ越したIさん(音羽館で働いていたこともある)とUさんも出品していて、山田稔さんの本など、いい本を並べていた。売り上げもけっこうよかったそうだ。ふたりとも元渋谷ブックファーストの書店員。
 今回いちばんの収穫は、竹中労の『自由への証言』(エフプロ出版、一九七七年)かなあ。はじめて実物を見た。うれしか。「週刊読売連載〈エライ人を斬る〉筆禍裁判の記録・私闘の論理」
 証言は、井家上隆幸、五木寛之、大島渚、今東光、松浦総三、丸山邦男、矢崎泰久。
 筆禍になった原稿は「佐藤寛子・庶民ぶるネコなで声の権勢欲夫人」。佐藤寛子はグラビアアイドルではなく、佐藤栄作の妻ですね。蛇足。

 途中、南陀楼さんのかわりに店番をする。場所は「ブックスキューブリック」(もし将来、町の本屋さんをやりたいとおもっている人は、必見かも。福岡県外でも注目のミニ書店)の前。お隣さんは、以前これまた高円寺の古本酒場コクテイルで会ったことのある女の子。箱をみると、田中小実昌の『ぼくのシネマ・グラフィティ』(新潮文庫)がある。これ、持ってなかった。ブックカバー、おまけしてもらう。「古本UMA」と書いてある。
 店番中は、スタンプラリーのハンコ押しが忙しい。子どもがいっぱいくる。あとちょっとしたトラブルも発生。不思議な女性がいきなりわたしの隣に座り、南陀楼さんの本を勝手に片付け、自分の本を並べはじめ、カバンからカッターナイフを出して……。ちょっとこわかった。

 店番のあとは、入江書店、痛快洞、バンドワゴンをまわる。入江書店は、正統派の古本屋。近所にあったら通いたい。入江書店のちかくの「博多さぬきうどん」もうまかった。ここはまた来たい。
 痛快洞は、買わされたなあ。いっぱい買ったら、割引してくれた。あとバンドワゴンは地下にある。迷った。安岡章太郎の『驢馬の学校』(現代史資料会)が買えて満足。ずっと読みたかった本を旅先で買えるとうれしい。
 一箱古本市の打ち上げは「東方遊酒菜ヌワラエリヤ」。店主の方は建築家だそうで、店内の天井まである本棚(高そうな本がいっぱいあった)は壮観だった。
 焼酎を飲んでいるうちに、わけがわからなくなる。
 そのあと中華料理屋(場所、おぼえていない)で、また焼酎。どんどん濃くなる。最後のほうはストレート。そのあと南陀楼さん、福島さん、内沼さんとこの日家に泊めてもらう約束をしていたIさんとUさんともう一軒(※1)行ったのだが、睡魔におそわれ、注文した飲み物がくる前に寝てしまう。一日中歩きどおしだったからなあ。

 そのあとIさんとUさん宅に一泊。昨日泊まったホテルのすぐ近く。
 地下鉄七隈線(この地下鉄、電車好きはいちばん前の車両に乗るべし。運転席のしきりがないから、地下鉄の中がよく見える)で早朝、天神に向い、コインロッカーで荷物をとり、中洲川端まで散歩。天神中央公園でぼーっとする。「新たなポテンシャルをたくわえて中洲ゲイツ、再始動」という看板を見て、わたしも再始動しようと心に誓う。
 まだすこし時間があったので、地下鉄で博多駅に出る。福岡交通センタービルのバスチカ商店街をうろうろ。バスチカ。響きがかっこいい。太郎うどんでかけうどん。この店、ラーメン屋とつながってるのだけど、早朝はうどん屋だけ営業している。

 スカイマークで東京に帰る。早い、飛行機。でも旅情なし。
 来年も行きたい。二泊三日はぜんぜん足りん。今度はラーメンも食おう。あと中洲の屋台も。

 家に帰ると、原稿の催促が……ああう。すみません、仕事します。
 というわけで、これから小杉湯につかってきます。今日は漢方薬草の湯。

(追記)
※1 古本喫茶coffinでした。「ナンダロウアヤシゲの日々」にて判明……。

2007/10/25

福岡へ

 明日からブックオカに行きます。昨年、書肆アクセスの畠中さんから、ブックオカの話を聞いて、今年はなにがあっても行こうとおもっていた。今回の目当ては、けやき通りの「一箱古本市」(二十七日)と「第3回 西新大古本まつり」(リブロ西新店共催)。

 それで飛行機の格安チケットをとる。
 スカイマークで東京・福岡間往復で二万円ちょっと。新幹線で大阪に行くより安い。知らないうちに、世の中こんなことになっていたのか。プラス三千円でホテルに一泊というプランもある。二泊三日のうち、一泊しか予約できなかったけど、まあ、なんなんとかなるでしょう。
 ひさしぶりだなあ、九州。
 二十一世紀になってから、はじめてかも。

 前に取材で行ったときは、新幹線分のチケット代をもらって、青春18きっぷで行ってその差額で、一泊二日の予定が二週間くらい滞在した。単に、電車賃なくなって帰れなくなったのだけど、飲み屋で知り合ったおじさんにキャバレーに花を届けるアルバイトを紹介してもらって、なんとか東京に帰ってくることができた。

 ほんとうにいいところだなあ、とおもった。

2007/10/22

エルゴスム書店

 日曜日、ひさしぶりに渋谷に行った。スクランブル交差点が横切れず、人の波に流される。信号変わるの早いよ。あれじゃあ、おとしより、渡りきれないよ。移転したばかりのブックファーストに寄ると、人でいっぱいだった。レジも混んでいた。地下にあるせいか、棚の配置のせいか、方向感覚がおかしくなる。働いている人はちょっとたいへんそうだ。

 話はかわるが、昔の高円寺文庫センターの跡地には、来月「スマイルベーカリー」というパン屋ができることになった。本からパン。これはちょっと予想していなかった。

 それから今年二月に閉店した高円寺の絵本の古本屋「えほんやるすばんばんするかいしゃ」が八月に再開していた。
 二ヶ月くらい気がつかなかった。不覚だ。

 すこし前に扉野良人さんから『SAGE(サージュ)』(一九八一年十一月号)という雑誌をもらった。
 この号では「全国書店マップ」(高橋雅彦)という連載で「中野・高円寺・荻窪・吉祥寺・国立・八王子」と中央線沿線の新刊書店と古本屋がとりあげられている。

《高円寺はごく庶民的な街である。
 新宿や吉祥寺と違って特に大きな書店はない。そのかわり、古書店がたくさんある。どの古書店も、知識欲旺盛な若者で賑わっている。
 駅前には小ぎれいな新刊書店が多いが、奥に入っていくとい、気取らない感じの古本屋が多くなる》

 地図にはいくつかまちがいだとおもわれる箇所があったが、それにしてもずいぶん変わったなとおもう。
 駅前の新刊書店がなくなった。南口の二階建の湘南堂書店もなくなったし、北口の現代書店は今はブックスオオトリ。建物は新しいマンションになっている。
 北口庚申通りのダイワ書店と大五郎書店、南口すぐの邦文堂書店は記憶にない。
 古本屋でいうと、北口の佐藤書店がなくなった。レジのうしろのガラスケースに芥川賞、直木賞作品が並んでいて、詩の関係の本も充実していた。本の値段は安くはなかったが、ときどきほりだしものがあった。
 まったく知らない古本屋もある。北口のエルゴスム書店は聞いたこともなかった。注釈には「初版本ばかり集めた。『本キチ』のための古書店」とある。

 エルゴスム書店かあ。コギト・エルゴ・スム。我おもうゆえに我在り。

 でも、もう店はない。

2007/10/19

詩と逃避

 先日『石神井書林目録73』で注文した『岩礁』第34号黒田三郎追悼号(一九八〇年四月二十日)が届いた。
 『岩礁』は静岡県の詩の同人誌。「岩礁」同人による「哀悼 黒田三郎」には、「氏が晩年の十年間、『岩礁』の同人として、詩、評論を寄稿下さり、常に温かい励ましの言葉をもって、地方の一同人詩誌に、格別の御厚情を示されたことに、私たちは、心からの感謝を捧げます」とある。
 黒田三郎の没後、思潮社から刊行された『流血』(一九八〇年五月)という詩集の表題作「流血」も『岩礁』に発表されたものだ。その手書きの原稿の写しもこの追悼号に掲載されている。

《何と多くのことが
 「という」だとか
 「ということである」だとか
 そんなふうに
 過ぎ去ってゆくことか
 やがて
 黒田三郎「という」
 飲んだくれがいて死んだ
 「ということである」
 というふうに
 そんなふうに
 僕らの日々は過ぎつつある》

 これが詩集『流血』では、
《黒田三郎「という」
 飲んだくれがいて
 死んだ「ということである」》
 となっている。

 ほんのちょっとのちがいだが、印象が変わっている。
 どちらがいいか、意見がわかれるところかもしれない。どちらでもいいという意見もあるだろう。
 どうも仕事の予定が詰まってくると詩が読みたくなる。

2007/10/14

秋も一箱古本市

 午後三時ごろ、「ちょっと根津のほうに行ってきます」とアルバイトを抜けだし、「秋も一箱古本市」に行く。
 地下鉄千駄木駅から「アートスペース・ゲント」、「貸はらっぱ音地」、「ライオンズガーデン」、「宗善寺」、「パール・オステリア・コムム」の順で駆け足でまわって、根津駅から仕事場に戻る。ほんとうは午前中に寄ってから、仕事に行くつもりだったのだけど、寝坊してしまったのだ。
 本はゆっくり見ることができなかったけど、お祭り気分が味わえて満足。
 一箱でなんとなく買った田村隆一の『詩人からの伝言』(メディアファクトリー)がおもいのほかよかった。帰りの電車の中で読んでいたら、止まらなくなった。C・D・ルイスの詩が生まれるときの話について語っているところがあって、詩の「種子」が育ち、詩が生まれる瞬間までには、数日、ときには数年かかることもあると。

《いいかい、このプロセスがない限り、ある一篇の詩がいかに巧妙に正義を歌ったり、愛を讚えても、またモダーンな意匠で書かれても、真の意味でそれは「詩」ではないんだよ》(一篇の詩の誕生)

 詩の話なんだけど、いろいろかんがえさせられる。どうしても仕事の原稿を書いていると、スピードが求められる。これが意外と消耗する。仕込みに時間がとれなくなって、ときどき自分のペースを見失う。もっとじっくり文章の「種子」を育てながら書いていきたい。むずかしいことだが。
 
 夜は、大阪から一箱古本市にも参加していた「BOOKONN」の中嶋大介さんと古本酒場コクテイル。先日のまほろばの古本市のときも出店していた。コクテイルのあと、夜中十二時すぎ、高円寺の「ZQ」に寄る。翌日、いっしょに西部古書会館の古書展に行く。
 Nさんがひたすらアホアホ本を紹介するブログ「ahoaho-expo」はおもしろいですよ。

 今日の夜は東小金井のザ・チャンプルー海風で東京ローカル・ホンクのワンマンがある。この秋『生きものについて』というニューアルバムが出ました。いいバンドですよ。売れてほしいなあ。

2007/10/13

風邪かも

 風邪かな、秋の花粉症かな。ずっとくしゃみ、鼻水が止まらない。酒を飲むと、ひどいことになる。というわけで、ひさびさの休肝日。
 のんびり旅がしたい。ゆっくり本が読みたい。時間をかけて文章を書きたい。そうおもいつつ、なかなかそうできない日々が続いている。ここのところ、家事も投げやりだ。

 アルバイトで事務(雑用係ともいう)をやっているのだけど、先日、仕事の一部をワープロからパソコンに切り換えることになった。
 このワープロからパソコンへの移行作業が、おもいのほか時間がかかる。家ではMacをつかっているので、ウィンドウズにも慣れないといけない。ただ移行してしまえば、この先、ちょっとは仕事が楽になりそうだ。
 今悩んでいるのは、たとえば十枚の原稿があって、そのうちの一枚だけ印刷するという方法がわからない。

 調子がわるいと、環境のせいにしてしまう。ちゃんとした仕事場があれば、もっと原稿が書けるかもしれないとおもったり……。
 おそらく仕事場の問題よりも、スケジュールの問題のほうが大きいのだ。
 今後は月に何日かは体調がわるい日があることを前提に予定を組むことにする。

 しめきりの日って、なんで同じ時期になるだろう。週明けの月曜日。土日がいつも仕事でつぶれる。金曜日までに書いてしまって、土日を休みにすればいいとおもうのだが、それができれば苦労しない。

2007/10/10

秋のまほろば古本市

 十月八日、京都の秋のまほろば古本市。行き帰りのこだまの中では『麻雀放浪記』を読もうとおもっていたが、当日、気が変わって、開高健の『白いページ』(1〜3巻、角川文庫)にする。これも電車向きの本だ。そのかわりといってはなんだが、一乗寺の萩書房で臨時増刊号『プロ麻雀 追悼全特集・阿佐田哲也の世界』(銀星出版)を買う。まあまあ、いい値段だったけど、旅先だから太っ腹になっている。
 前の日から扉野良人さん宅にお世話になる。そして前日もまほろばで飲む。
 
 朝方、大雨が降っていたけど、開始の午後十二時半ごろ、ちょうど雨がやんだ。途中、晴れ間さえも見えた。「扉野くんの念力」(山本善行さん談)はさすがである。

 当日“わめぞ”の名物の前掛け(「古本暮らし」の刺繍入り)をして会計係をする。スリップをぬいて、計算して、お釣りを渡す。そうした作業にまったく慣れていなくて、お客さんに話しかけられても、余裕のない、ぎこちない対応に終始してしまった。ああ、うう、あうあう、すみません。

 場数をふまないとなあ。
 
 古本市はたのしかった。あっという間だった。時計をみるたびに、予想していた時間よりも一時間くらい早くすすんでいる。時計が壊れているんじゃないかとおもったくらいだ。
 それから山崎書店さんからもらった「京都古書店繪圖」は素晴らしい出来です。
 ご来場のみなさま、ありがとうございました。

 夜はオグラさんのライブ。現在もツアー中。はじめのうちは大丈夫かと心配になるくらい、おそらく打ち上げで疲労困憊の様子だったけど、本番になると、いつものオグラさんに戻っていた。ライブにはうわさの「豆太郎」(人形)も参加。

 今日以降のオグラのライブ日程。
●10/10(水)鳥取 La Queue(ラ・キュー)
●10/11(木)島根 EURUS(ユーラス)
●10/13(土)宇部市DUO
●10/14(日)山口湯田温泉 Organ's Melody
(「オグラのヒミツ」 http://www.lilyfranky.com/reg02/index.html)

 翌日、早起きできたら、大阪の古本市も行きたかったのだけど、午後十二時すぎまで目がさめず……。
 次回の関西行のときは、大阪方面もゆっくりまわりたい。
 そうそう、まほろばのライブの打ち上げで、わたしとオグラさんがいたテーブルには、高円寺と阿佐ケ谷在住の人、三日前に新高円寺から京都に引っ越してきた人がいた。みなさん、初対面。京都にいる気がまったくしなかった。ほんとうに不思議な店。

 これから『サンパン』の原稿の仕上げ作業。
 なんとか朝までには。

2007/10/06

多少の雨ならやります

 秋のまほろば古本市が当初は雨天中止の予定でしたが、「多少の雨なら軒下で決行します」との連絡がありました。

 オグラ単身赴任ツアー"秋"「オルガンとフルホン PART II」
 日時 10月8日午後7時30分より
 場所 まほろば
 京阪電車出町柳駅下車川沿い北へ徒歩15分、電話075-712-4191

 同日12時30分〜17時30分、まほろば前ガレージにて「秋のまほろば古本市」
 Mr. オルガ、荻原魚雷(文壇高円寺)、貸本喫茶ちょうちょぼっこ、萩書房、山崎書店、cafe de poche、modernjuice古書部 、小山さん、イノウェイ、BOOKONN、すむーす堂、ガケ書房、stockroom、ゆうぞうさん、ふくちゃん、トンカ書店、全適堂、トランプ堂、アトリエ箱庭、堀部篤史(恵文社一乗寺店)、山本善行堂

『古本病のかかり方』文庫化

 一昨日の晩は、筑摩書房のOさんと講談社のNさんと神宮球場。ヤクルト横浜戦。
 鈴木健選手の引退試合。鈴木選手は一九七〇年の早生まれなのでわたしと学年は同じ。同年代の野球選手の引退はさみしい。
 最終打席、鈴木選手は十五球粘ってヒットを打った(泣きそうになった)。試合も三対一でスワローズの勝利。いい夜だ。
 なぜ三重県民なのにスワローズのファンなのかというと、幼稚園の年中のときのクラスが「つばめ組」だったから。
 テレビでプロ野球を見ているとき、「スワローズ」が出てきたとき、父に「スワローズ」というのは「つばめ組」って意味だと教えられた(気がする)。
 
 神宮球場のライトスタンドで筑摩のOさんから、岡崎武志さんの『古本病のかかり方』(ちくま文庫)の見本をみせてもらう。
 わたしが生まれてはじめて書いた「文庫の解説」が載っています。
 題は「古本病のこじらせ方」。

 それで高円寺「古本酒場コクテイル」にて「古本診療室 『古本病のかかり方』文庫化記念」の岡崎さんのトークショーがあります。
 10月16日(火) 午後7時開場 7時30分開演
 ゲストは石丸澄子さん(文庫の装丁)とわたし(解説)です。
 チャージ1000円

 予約は古本酒場コクテイル(電話03ー3310ー8130)まで。

2007/10/03

阿佐田哲也の文庫、続々刊行

 京都で開催される秋のまほろば古本市に向けて、神保町のJTBでぷらっとこだまのチケット(往復)を買う。ドリンク引換券付で九千八百円。のぞみよりも約三千円安い。こだまだと東京駅から京都駅まで約三時間四十分。のぞみよりも一時間二十分遅い。つまり、ぷらっとこだまで京都にいけば、時給三千円ちかくのアルバイトをしたという計算になる。ん?

 それはさておき、電車の中で何を読むか。
 今度の京都行きでは、阿佐田哲也の『麻雀放浪記』(角川文庫、全四巻)を再読しようかと考えている。
 『麻雀放浪記』といえば、今月十日に文春文庫から「青春篇」と「風雲篇」が刊行される。

 文春文庫の『麻雀放浪記』かあ。持っているけど、ほしい。というのも、阿佐田哲也の『新麻雀放浪記 申年生まれのフレンズ』(文春文庫)と同じ背表紙で『麻雀放浪記』が本棚に並べられるからである。
 しかし角川文庫の『麻雀放浪記』と『ドサ健バクチ地獄』が並んでいる姿もなかなかよいのだが。
 わたしは阿佐田哲也の文庫の中では『ギャンブル人生論』(角川文庫)をいちばん再読している。年に一度はかならず読む。

 さらに阿佐田哲也の新刊情報。
 なんと、小学館文庫から「阿佐田哲也コレクション」というシリーズが刊行されるのだ。

 第一弾(十月五日発売)は、『天和をつくれ』(結城信孝編)。
《惜しまれた突然の死から18年。いまなお熱烈なファンの支持を誇る「雀聖・阿佐田哲也」の作品を隔月で発刊していくシリーズ第1弾! 表題作「天和をつくれ」に加え、「パイパンルール」「競輪円舞曲」「新春麻雀会」など、読み応え満点の短篇ギャンブル小説を8本収録。麻雀、競輪、ルーレット等のギャンブルを題材に、そこに生きる“人間”たちの駆け引きや人生模様が、時におかしく、時に哀しく、描き出されている》(小学館ホームページより)

………その後の刊行予定は次のとおり。

『ばいにんぶるーす』(二〇〇七年十二月刊行予定)。
『ヤバ市ヤバ町雀鬼伝 三〇〇分一本勝負』(二〇〇八年二月刊行予定)
『ヤバ市ヤバ町雀鬼伝 ゴールドラッシュ』(二〇〇八年四月刊行予定)
『先天性極楽伝』(二〇〇八年六月刊行予定)
『雀師流転』(結城信孝編・二〇〇八年八月刊行予定)
『[麻雀名人戦自戦記]これがオレの麻雀』(結城信孝編・二〇〇八年十月刊行予定)
              *
 ところで話はかわるが、読みかけの阿佐田哲也の『ギャンブル放浪記』(角川春樹事務所)が行方不明になっている。かれこれ一時間以上、探しているのだが、出てこない。昨日、琥珀で読んでいたところまではおぼえている。店に忘れてきたか。いや、それはない。

 ほんとうに阿佐田哲也の文庫が続々と復刊するのは嬉しいかぎりである。
 色川武大の文庫の復刊はあるのか。
 『花のさかりは地下道で』(文春文庫)、『虫喰仙次』(福武文庫)、『唄えば天国ジャズソング』(ちくま文庫)、『明日泣く』(講談社文庫)、『小説阿佐田哲也』(角川文庫)、『ぼうふら漂遊記』(新潮文庫)あたりはどうか。

 旅先には、色川武大のエッセイ集も持っていきたくなった。『街は気まぐれヘソまがり』(徳間書店)かなあ。
 それにしても『ギャンブル放浪記』はどこに行ったのか。
 気になって仕事がまったく手につかない。

(追記)
……『ギャンブル放浪記』は、翌日アルバイト先の机の上で無事見つかりました。

東京銭湯お遍路MAP

 昨晩、琥珀でコーヒーを飲んだあと、小杉湯に行って一風呂浴び、帰りに『東京銭湯お遍路MAP』(編集・草隆社、発行・東京都公衆浴場業生活衛生同業組合)を購入する。三百円(税込)。
 銭湯MAP、有料になったんですね。発売は五年ぶり。
 高円寺エリアには北口になみのゆ(高円寺北三)、小杉湯(高円寺北三)。南口に宮下湯(高円寺南四)、第三宮下湯(高円寺南三)、弁天湯(高円寺南三)、香藤湯(高円寺南五)、杉並湯(梅里一)がある。

 わたしは学生時代から三十歳まで風呂なしアパートに住んでいた。引っ越しのときは、いつも北口のなみのゆと小杉湯のちかくで探した。この二つの銭湯は、深夜一時四十五分まで営業していて、終電で帰ってきても風呂に入れるからだ。
 なみのゆは日曜日の朝風呂、小杉湯はミルク風呂がある。

 『東京銭湯マップ94』のときは、一六五〇軒の銭湯が掲載されていたのだが、二〇〇七年版の『東京銭湯お遍路MAP』は九三五軒になっている。
 この十数年のあいだに高円寺界隈だけでも、高円寺浴場(高円寺南二)、つかさ湯(高円寺南四)、谷中湯(高円寺南五)、稲荷湯(高円寺南一)、千代の湯(梅里二)が閉店した。
 また早稲田通りをこえた隣の中野区大和町の銭湯も激減した。大和町には、若松湯(大和町一)、光湯(大和町二)、藤の湯(大和町三)、鶴の湯(大和町三)、大和湯(大和町四)と五軒の銭湯があったが、現在は大和湯と若松湯の二軒しか残っていない。

(二〇〇七年現在、東京二十三区の銭湯の軒数ランキング。カッコ内は一九九四年の銭湯マップの数字。【】内はその順位)

一位   大田区   73(120【1】)
二位   江戸川区  60(98 【4】)
三位   足立区   58(103【2】)
四位   葛飾区   57(102【3】)
五位   板橋区   54(84 【6】)
六位   世田谷区  48(84 【6】)
七位   墨田区   44(73 【8】)
     北区    44(85 【5】)
九位   荒川区   42(70 【11】)
十位   台東区   41(57 【15】)
十一位  豊島区   40(63 【14】)
十二位  杉並区   38(73 【8】)
十三位  品川区   37(71 【10】)
     練馬区   37(65 【12】)
十五位  江東区   34(55 【16】)
十六位  新宿区   33(52 【17】)
     中野区   33(64 【13】)
十八位  目黒区   20(37 【18】)
十九位  渋谷区   18(30 【20】)
二十位  文京区   15(31 【19】)
二十一位 中央区   11(14 【21】)
二十二位 港区     8(13 【22】)
二十三位 千代田区   4(4  【23】)

 一位はあいかわらず大田区だが、減少数も四七軒で最多。杉並区は八位から十二位に……。
 こうしてみると、次の銭湯マップが出るころには、何軒くらい残っているのか心配になる。

2007/10/02

なんだか単調

 もらいものの圧力鍋でカレーを作ってみる。圧力鍋、楽だ。短時間で肉がやわらかくなる。具は、豚肉、たまねぎ、にんじん、じゃがいものよくあるカレー。あと大豆の水煮をいれる。
 まだ圧力鍋の加減がわからず、いつもより水っぽくなる。おそらく、野菜の水分のせいだろう。
 カレーを作っているあいだ、来週の「秋のまほろばの古本祭」のための古本の値付したり、パラフィンがけをしたり、中古レコード屋に売るためのCDを整理したり、風呂場で髪を切ったりしているうちに夜になる。

 原稿がまったくはかどらない。

 最近はボー・ブラメルズの『トライアングル』(一九六七年)というCDをずっと聴いている。サイケ調のフォーク・ロックの名盤。バーズが好きな人なら、気にいるとおもう。地味だけど。

 古本酒場コクテイルで飲んでいたら、インターネットの古本屋の古書桃李さんから、格安で臼井吉見の本を十冊ほど一括で売ってもらえることになった。

 すこし前に臼井吉見の『自分をつくる』(ちくま文庫)を読んで、この明治生まれのリベラルな教養人をちゃんと再評価したいとおもっていたところだった。

『自分をつくる』は、読書論が何篇か収録されている。

《すぐれた本というのは、はっきりしてますよ。時間という、偉大な批評家に合格したのが、すぐれた本です。われわれのような人間の生き身の批評家なんてものは、いい加減なもので、まちがったことばかり言ってますが、時間というのは、ごまかしがきかない。ある時期に見のがされたような、いい加減な本でも、時間という厳しい批評家の手にかかると、悪いものは必ず退けられ、いいものだけが必ず残る》(「乱読のすすめ」)

《そしてもう一つ申し上げると、できるだけ全集を読むということ、好きな作家がいたら、生涯で一冊ぐらいしか残していない小さな作家でもいいから、全部読むことが大事です。手紙も日記も皆読んでしまう。そうなると、一つの山に登ることになります。すると、もっと高い山や低い山が見えてくる。自分が山の上に立って、はじめて高い低いがはっきりわかってくる。これが読書というもので得られる、大事なことではないかと思います》(「小説ばかりが読書ではない」)

 臼井吉見は、編集者になる前は長野で学校の先生をしていて、上京したのは三十八歳のときだった。
 わたしも来月で三十八歳になる。そうです。人間、いくつになっても、新しいことに挑戦できるのです。

 とはいえ、今日も高円寺の南口の古本屋めぐりをして、本のパラフィンがけ。北口の琥珀でコーヒー。
……これといった変化なし。