晴れの日一万歩、雨の日五千歩の日課は今年に入って達成率七、八割といったところ。雨の日はほぼ五千歩以上歩いている。
金曜日、高円寺ルック商店街から阿佐ケ谷方面に向かって桃園川緑道を散歩中、そぞろ書房の山川直人漫画原画展「本の街を散歩」(四月二十日まで)を思い出し、立ち寄る。
八重洲ブックセンター阿佐ヶ谷店で石川浩司著『地味町ひとり散歩 「たま」のランニング大将放浪記』(双葉社)のサイン本を買う。鈴鹿市の長太ノ浦(なごのうら)も歩いている。石川浩司、文章の軽みがすごい。
土曜昼すぎ、西部古書会館。大均一祭初日(二百円)。『蘆花の生涯 徳冨蘆花記念文学館図録』(徳冨蘆花記念文学館、一九九七年)、NHKテレビロータリー編『わたしの散歩道』(竹井出版、一九八〇年)、豊田武、児玉幸多編『体系日本史叢書 交通史』(山川出版社、一九七〇年)、『S・Fマガジン 眉村卓追悼特集』(二〇二〇年四月号)、あと漢詩(白居易、陶淵明)の本など。蘆花の図録はちょっと珍しい。徳冨蘆花記念文学館は群馬県の伊香保にある。伊香保はまだ行ったことがない。
『わたしの散歩道』は春・夏・秋・冬の四章構成。出演者は四十六名。冒頭は谷内六郎(砧緑地)。梶原一騎(西大泉)、園山俊二(上高井戸)、滝田ゆう(国立)の名も。田中澄江は中野の哲学堂周辺(公園内に妙正寺川が流れている)を散歩。野方あたりに暮らしていたとも。
井出孫六は国分寺の「旧鎌倉街道・万葉植物園」を散策している。当時、四十代後半くらいだが、見た目が若々しい。歩き煙草の写真も載っている。
滝田ゆうはどこを切り取っても滝田ゆう。
《散歩に出るのは、仕事が手につかない時ですね。散歩といっても、ほとんど何か虚な感じで(笑い)あてもなく歩くっていうような感じになっちゃうと思うんですけれども》
昔のテレビ番組の多数のゲストが登場する本は面白い(写真も貴重)。竹井出版は一九九二年に致知出版社に改称。地産グループの故・竹井博友が作った出版社である。
西部古書会館のあと早稲田通りを歩く。中野区大和町から東に向かって早稲田通りを歩いて環七を渡ると住所が野方になる。普通の家みたいな喫茶店がある。路地に小さなパン屋がある。大新商栄会という小さな商店街がある。銭湯の上越泉、理髪店、和菓子屋、酒屋、クリーニング店……。
早稲田通り沿いに大新横丁というバス停(関東バス)がある。時刻表をメモする。野方駅〜新宿駅西口のバスも走っている。一時間に一本から三本。行きと帰りで停車順がちがう。新宿駅西口からのバスは大新横丁で停まるが、新宿方面に向かうときは早稲田通りの一つ手前の東京警察病院北門前のバス停まで行く必要がある。それなら環七の大場(だいば)通りの都営バスのバス停から新宿駅行きのバスに乗るほうが近い。
西武線の野方駅や練馬駅から高円寺駅行きのバスに乗るようになって、大場通り(早稲田通り)の名を知った。
夜、「イマキュレートイニング」という言葉を知る。四月五日のヤクルト中日戦、ヤクルトの石山泰稚投手が一イニング三者連続三球三振で試合を締めた。スワローズとしては国鉄時代の金田正一投手以来、七十年ぶりの記録とのこと。イマキュレートは「完璧」という意味だそうだ。