2007/10/03

阿佐田哲也の文庫、続々刊行

 京都で開催される秋のまほろば古本市に向けて、神保町のJTBでぷらっとこだまのチケット(往復)を買う。ドリンク引換券付で九千八百円。のぞみよりも約三千円安い。こだまだと東京駅から京都駅まで約三時間四十分。のぞみよりも一時間二十分遅い。つまり、ぷらっとこだまで京都にいけば、時給三千円ちかくのアルバイトをしたという計算になる。ん?

 それはさておき、電車の中で何を読むか。
 今度の京都行きでは、阿佐田哲也の『麻雀放浪記』(角川文庫、全四巻)を再読しようかと考えている。
『麻雀放浪記』といえば、今月十日に文春文庫から「青春篇」と「風雲篇」が刊行される。

 文春文庫の『麻雀放浪記』かあ。持っているけど、ほしい。というのも、阿佐田哲也の『新麻雀放浪記 申年生まれのフレンズ』(文春文庫)と同じ背表紙で『麻雀放浪記』が本棚に並べられるからである。
 しかし角川文庫の『麻雀放浪記』と『ドサ健バクチ地獄』が並んでいる姿もなかなかよいのだが。
 わたしは阿佐田哲也の文庫の中では『ギャンブル人生論』(角川文庫)をいちばん再読している。年に一度はかならず読む。

 さらに阿佐田哲也の新刊情報。
 なんと、小学館文庫から「阿佐田哲也コレクション」というシリーズが刊行されるのだ。

 第一弾(十月五日発売)は、『天和をつくれ』(結城信孝編)。
《惜しまれた突然の死から18年。いまなお熱烈なファンの支持を誇る「雀聖・阿佐田哲也」の作品を隔月で発刊していくシリーズ第1弾! 表題作「天和をつくれ」に加え、「パイパンルール」「競輪円舞曲」「新春麻雀会」など、読み応え満点の短篇ギャンブル小説を8本収録。麻雀、競輪、ルーレット等のギャンブルを題材に、そこに生きる“人間”たちの駆け引きや人生模様が、時におかしく、時に哀しく、描き出されている》(小学館ホームページより)

 その後の刊行予定は次のとおり。

『ばいにんぶるーす』(二〇〇七年十二月刊行予定)。
『ヤバ市ヤバ町雀鬼伝 三〇〇分一本勝負』(二〇〇八年二月刊行予定)
『ヤバ市ヤバ町雀鬼伝 ゴールドラッシュ』(二〇〇八年四月刊行予定)
『先天性極楽伝』(二〇〇八年六月刊行予定)
『雀師流転』(結城信孝編・二〇〇八年八月刊行予定)
『[麻雀名人戦自戦記]これがオレの麻雀』(結城信孝編・二〇〇八年十月刊行予定)
           *
 読みかけの阿佐田哲也の『ギャンブル放浪記』(角川春樹事務所)が行方不明になっている。かれこれ一時間以上、探しているのだが、出てこない。昨日、琥珀で読んでいたところまではおぼえている。店に忘れてきたか。いや、それはない。

 ほんとうに阿佐田哲也の文庫が続々と復刊するのは嬉しいかぎりである。
 色川武大の文庫の復刊はあるのか。
『花のさかりは地下道で』(文春文庫)、『虫喰仙次』(福武文庫)、『唄えば天国ジャズソング』(ちくま文庫)、『明日泣く』(講談社文庫)、『小説阿佐田哲也』(角川文庫)、『ぼうふら漂遊記』(新潮文庫)あたり。

 旅先には、色川武大のエッセイ集も持っていきたくなった。『街は気まぐれヘソまがり』(徳間書店)かなあ。
 それにしても『ギャンブル放浪記』はどこに行ったのか。
 気になって仕事がまったく手につかない。

(追記)
……『ギャンブル放浪記』は、翌日アルバイト先の机の上で無事見つかりました。

東京銭湯お遍路MAP

 昨晩、北口の琥珀でコーヒーを飲んだあと、小杉湯に行って一風呂浴び、帰りに『東京銭湯お遍路MAP』(編集・草隆社、発行・東京都公衆浴場業生活衛生同業組合)を購入する。三百円(税込)。
 銭湯MAP、有料になったんですね。発売は五年ぶりだ。
 高円寺エリアには北口になみのゆ(高円寺北三)、小杉湯(高円寺北三)。南口に宮下湯(高円寺南四)、第三宮下湯(高円寺南三)、弁天湯(高円寺南三)、香藤湯(高円寺南五)、杉並湯(梅里一)がある。

 わたしは学生時代から三十歳まで風呂なしアパートに住んでいた。引っ越しのときは、いつも北口のなみのゆと小杉湯のちかくで探した。この二つの銭湯は、深夜一時四十五分まで営業していて、終電で帰ってきても風呂に入れるからだ。
 なみのゆは日曜日の朝風呂、小杉湯はミルク風呂がある。

『東京銭湯マップ94』のときは、一六五〇軒の銭湯が掲載されていたのだが、二〇〇七年版の『東京銭湯お遍路MAP』は九三五軒になっている。
 この十数年のあいだに高円寺界隈だけでも、高円寺浴場(高円寺南二)、つかさ湯(高円寺南四)、谷中湯(高円寺南五)、稲荷湯(高円寺南一)、千代の湯(梅里二)が閉店した。
 また早稲田通りをこえた隣の中野区大和町の銭湯もずいぶん減った。大和町には、若松湯(大和町一)、光湯(大和町二)、藤の湯(大和町三)、鶴の湯(大和町三)、大和湯(大和町四)と五軒の銭湯があったが、現在は大和湯と若松湯の二軒しか残っていない。

(二〇〇七年現在、東京二十三区の銭湯の軒数ランキング。カッコ内は一九九四年の銭湯マップの数字。【】内はその順位)

一位   大田区   73(120【1】)
二位   江戸川区  60(98 【4】)
三位   足立区   58(103【2】)
四位   葛飾区   57(102【3】)
五位   板橋区   54(84 【6】)
六位   世田谷区  48(84 【6】)
七位   墨田区   44(73 【8】)
同七位  北区    44(85 【5】)
九位   荒川区   42(70 【11】)
十位   台東区   41(57 【15】)
十一位  豊島区   40(63 【14】)
十二位  杉並区   38(73 【8】)
十三位  品川区   37(71 【10】)
同十三位 練馬区   37(65 【12】)
十五位  江東区   34(55 【16】)
十六位  新宿区   33(52 【17】)
同十六位 中野区   33(64 【13】)
十八位  目黒区   20(37 【18】)
十九位  渋谷区   18(30 【20】)
二十位  文京区   15(31 【19】)
二十一位 中央区   11(14 【21】)
二十二位 港区     8(13 【22】)
二十三位 千代田区   4(4  【23】)

 一位はあいかわらず大田区だが、減少数も四七軒で最多。杉並区は八位から十二位に……。
 こうしてみると、次の銭湯マップが出るころには、何軒くらい残っているのか心配になる。

2007/10/02

なんだか単調

 もらいものの圧力鍋でカレーを作ってみる。圧力鍋、楽だ。短時間で肉がやわらかくなる。具は、豚肉、たまねぎ、にんじん、じゃがいものよくあるカレー。あと大豆の水煮をいれる。
 まだ圧力鍋の加減がわからず、いつもより水っぽくなる。おそらく、野菜の水分のせいだろう。
 カレーを作っているあいだ、来週の「秋のまほろばの古本祭」のための古本の値付したり、パラフィンがけをしたり、中古レコード屋に売るためのCDを整理したり、風呂場で髪を切ったりしているうちに夜になる。

 原稿がまったくはかどらない。

 最近はボー・ブラメルズの『トライアングル』(一九六七年)というCDをずっと聴いている。サイケ調のフォーク・ロックの名盤。バーズが好きな人なら、気にいるとおもう。地味だけど。

 古本酒場コクテイルで飲んでいたら、インターネットの古本屋の古書桃李さんから、格安で臼井吉見の本を十冊ほど一括で売ってもらえることになった。

 すこし前に臼井吉見の『自分をつくる』(ちくま文庫)を読んで、この明治生まれのリベラルな教養人をちゃんと再評価したいとおもっていたところだった。

『自分をつくる』は、読書論が何篇か収録されている。

《すぐれた本というのは、はっきりしてますよ。時間という、偉大な批評家に合格したのが、すぐれた本です。われわれのような人間の生き身の批評家なんてものは、いい加減なもので、まちがったことばかり言ってますが、時間というのは、ごまかしがきかない。ある時期に見のがされたような、いい加減な本でも、時間という厳しい批評家の手にかかると、悪いものは必ず退けられ、いいものだけが必ず残る》(「乱読のすすめ」)

《そしてもう一つ申し上げると、できるだけ全集を読むということ、好きな作家がいたら、生涯で一冊ぐらいしか残していない小さな作家でもいいから、全部読むことが大事です。手紙も日記も皆読んでしまう。そうなると、一つの山に登ることになります。すると、もっと高い山や低い山が見えてくる。自分が山の上に立って、はじめて高い低いがはっきりわかってくる。これが読書というもので得られる、大事なことではないかと思います》(「小説ばかりが読書ではない」)

 臼井吉見は、編集者になる前は長野で学校の先生をしていて、上京したのは三十八歳のときだった。
 わたしも来月で三十八歳になる。そうです。人間、いくつになっても、新しいことに挑戦できるのです。

 とはいえ、今日も高円寺の南口の古本屋めぐりをして、本のパラフィンがけ。北口の琥珀でコーヒー。
……これといった変化なし。