2013/11/12

杉野清隆ライブ

 コタツを出して十日。昨日この秋初のヒートテックの長そでを着て、今日この秋初の貼るカイロを腰に装着した。
 今からこんなことで冬を乗り切れるのか。
 まだ十一月なのに。

 日曜日、ペリカン時代、金沢在住のシンガソングライター杉野清隆さんのライブを見た。CDの音もいいのだけど、ライブの音はもっといい(そのままライブ盤になりそう)。

 何時間でもぶっ通しで聴き続けられるような疲れない音。淡いとか透きとおっているとかともちがう。なんていったらいいのか。鼻歌っぽい。ちがう。風呂場で歌いたいかんじの曲。そうじゃない。
 うーん、音楽を言葉にするのはまだるっこしい。「聴いて」の一言ですませたい。

 杉野さんの『メロウ』『ふらっと通り』のアルバムジャケットを手がけている山川直人さんも来ていて、漫画の話を聞けたのも楽しかった(杉野さんとは、山川さんの文章も好きだという話で意気投合した)。

 金沢行きたいな。メロメロポッチでも見てみたい。来年の目標にしよう。

 翌日、しめきりがあって、飲みすぎないようにセーブしていたのだが……失敗した。途中でコーヒーを一杯飲んだおかげか、あまり酒は残らなかった。

 その後、仮眠をとって朝五時から仕事をする。
 何を書くのか決めてなくて、ひたすら「俺の魂が…やる気になるのを待つのだ!!」(島本和彦)状態が続いた。

 苦労したからといって、よくなるわけではないのがつらいところだ。

2013/11/06

音羽館の本

 昨日、広瀬洋一著『西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事』(本の雑誌社)の出版記念会に行ってきた。

 音羽館は二〇〇〇年に開店——。

 音羽館がオープンしたころ、ちょうどアパートの立退きをせまられて、古本を買うどころではなかったのだが、「いい店ができたなあ、いつかこの店で思う存分、古本が買えるようになりたい」とおもった。
 そのころ、電車賃もなくて、高円寺を中心に、中野〜荻窪界隈の古本屋を自転車で巡回していた。西荻まではちょっと遠かった。出版記念会の自己紹介のときに岡崎武志さんから「泣ける話」をふられたが、何も喋れなかった。この話をすればよかった。

『西荻の古本屋さん』を読んで、やっぱり広瀬さんは堅実な人だとおもった。
 独立前から勉強して、本を集めて、貯金もしている。店をはじめることのたいへんさが詳細に語られている。
 広瀬さんからすれば、当然のことをしただけなのかもしれないけど、わたしのまわりの自営業者は「無鉄砲型」が多いので新鮮だった。
 計画を立て、努力し、実現する。楽や近道をしない。
 広瀬さんの「日々と仕事」もそうなのだろう。

 きれいで落ち着いた店内、中央線沿線の客層の好みを熟慮しながら作られた本の並び……最近は慣れたが、はじめて音羽館を訪れたときは、若い人(わたしも若かった)や女性客が多くて驚いた。

 広瀬さんは従来の古本屋のあり方、もしくは常識のようなものも変えたとおもう。

 出版記念会では、音羽館のスタッフ、かつて音羽館で働いていた古書コンコ堂さん、ささま書店の野村くんと雑談中、なぜか副業の話を熱弁してしまう。

 帰りに西荻では珍しい夜十一時半くらいまで営業している喫茶店に寄る。

2013/11/01

雑記

 神田古本まつりで文庫一冊しか買わないというのはどうかとおもい、昨日も行ってきた。
 最近、古本が買えないのは、テーマを絞りすぎているせいかもしれない。中年の本、野球の本、アメリカのコラム……。
 この日は三冊ほど買ったが、読むかどうかわからない。
 
 中古レコードやCDも、一九七一年〜七三年のアメリカのシンガーソングライターという縛りがあるせいで、まったく買えない日が続いている。予備知識なし、行き当たりばったりで探しているから、“一生聴ける一枚”を見つけるのは、ほんとうにむずかしい。まあ、そんなに簡単に名盤(自分にとっての)に当たれば、苦労はない。

 そんな中、ビリー・マーニット『スペシャル・デリヴァリー』(一九七三年作品、一九九八年復刻、世界初CD化)は久々に会心の一枚だった。名盤探検隊ものだから、ハズレはないだろうとおもっていたけど、家に帰って聴くまで、こんなにいいとはおもわなかった。
 レコードの発売から四十年、CDの復刻から十五年。気づくの遅すぎ……。

 ライナーは渚十吾。文中、「友人でもある日本のロック・バンド、カーネーションの直枝政太郎くんと話していたときに、彼が『いいですね』といっていたくらい」という一文もあった。曲解説、けっこう厳しい。
 ビリー・マーニットはピアノ&ボーカル。プロデューサーとリズムセクションは一九七三年デビューのトム・ウェイツと同じだそうだ。

 トム・ウェイツが売れて、ビリー・マーニットのこのアルバムが大きな話題にならなかったのはなぜだろう。わたしはビリー・マーニットのほうが好みだ。ちょっと情けないかんじが。

 本人のホームページを見たら、現在のビリー・マーニットの肩書は(Writer/songwriter/teacher/script consultant)となっていた。小説を書いていることもわかった。

 読んでみたい。