六月下旬から雨続き。昨日のニュースでは日照時間が十九日連続(二十日連続に更新?)で三時間未満というのは統計史上初だそうだ。
天候不順のせいか、毎日睡眠時間がズレる。今朝は午前四時に起床。頭がぼーっとしている。日照時間不足は心身にも影響する。ニュースではきのこ、肉を食べるといいといっていた。
雨の中、仕事部屋の引っ越し。先に本棚は自力で移し、組立終わっていた。引っ越し業者の人には本を運搬してもらう。ペットボトルの段ボール、百箱以上。「これで半分」「あと三分の一くらい」と声を出し、ずっと笑顔。箱を三段に積み、上のふたつを持っていく。
引っ越しは一時間ちょっとですべて完了。プロの仕事はすごい。床がほとんど見えない。その後、大家さんの代理に入っている会社の人に鍵を返す。
立退きは三回目。過去二回は大家さんともめた。大家都合による立退きであっても、こちらから請求しないと引っ越し費用を出してもらえない(何もいわないと自腹になる)。
今回は最初の話し合いで引っ越しに関する費用がすべて出ることが決まった。面倒な話し合いは直接利害の絡まない第三者があいだに入ると楽だ。
まだ本棚に本を戻す作業が残っている。
この二ヶ月、引っ越しのことで頭がいっぱいだった。もともと梅雨時は街道を歩く予定はなかったのだが、それでも予定以上に歩けなかった。そのあいだも古書会館通いを続け、資料だけは増えていく。日本海側の街道も歩きたい。
引っ越し前、仕事部屋に置いていた夏用の肌掛けを捨てようとしたら、「粗大ゴミです」というシールを貼られ、ゴミ置き場に残っていた。小さなゴミ袋に入るくらいの大きさなのだが、それでもダメなのか。前に捨てたときは大丈夫だった記憶があるのだが。結局、ハサミで切って小さくして捨てたが、いまだにゴミのルールがわからない。
そういえば、古い座布団も燃えないゴミで出せなかった。座布団は一度洗濯し、完全に乾ききる前に、綿を出して小分けにすると楽なことがわかった(綿が縮んで小さくなる。埃も出ない)。今後、布団系を捨てるときはこのやり方で処分することにする。
2019/07/09
引越やつれ
引っ越しが終わるまで仕事が手につかない。毎日掃除したり散歩したり酒を飲んだりして過ごしている。
上京三十年で借りた部屋の数は九軒(下赤塚一軒、高円寺八軒)になる。四十代に入ってから、引っ越しから遠ざかっていた。たぶん四十代最後の引っ越しになるだろう。
最初の単行本の印税で書庫兼仕事部屋(木造の風呂なしアパート)を借りたのは二〇〇七年十一月。赤字になったらすぐ撤収するつもりで借りた。
綱渡りながら十二年ちかく維持することができた。その部屋が老朽化のため、取り壊しが決まった。三回目の立ち退きである。
新しい書庫探しのため、不動産屋をまわる。最初に下見をした物件は家賃も間取りもほぼ条件通りだった。「ここでいいかな」とおもいながら不動産屋の担当者と下見に行った。そのとき、借りようかどうか迷っていたアパートの手前で引っ越しのトラックが前にも後ろにも進めず、立ち往生していた。
数分間だろうか。かなり長い時間におもえた。
その下見のさい、道でばったり旧友の河田拓也さんと会った。知り合ったころは、お互い、風呂なしアパート暮らしだった。下見のあと喫茶店で待ち合わせし、知り合いがはじめた店で昼酒(レモンサワー)。河田さんと話しているうちに、もうすこし探してから決めようと気が変わった。
何日か後、転居先の場所を絞り、近所の不動産屋に行くと、前の仕事部屋から歩いてすぐのアパートの一室が空く予定があると教えてもらった。
再び下見。部屋に入って数秒で「借りたいとおもいます」と即決した。まったく迷いがなかった。
部屋を借りるとき、そこでの暮らしが想像できるかどうかはすごく大事だ。新居は明るい未来が見えた……ような気がした。家から仕事部屋までの道のりが好きなコースだったのも即決した理由である。
新居に本を運ぶ前に本棚を並べておきたい。経験上、本を入れてしまうと本棚を組み立てる場所がなくなるからだ。ちょうど世田谷ピンポンズさんが高円寺に来たので手伝ってもらった。助かった。
この本棚に本が収まるのはいつの日のことか。それまでは落ち着かない日々が続く。自宅と旧仕事部屋と新仕事部屋の三軒をぐるぐるとまわる。いつまで新しい部屋を維持できるのか。あと何年くらい仕事ができるのか。そんなことを考えるひまがあったら、午後の散歩にでかけたほうがいい。
上京三十年で借りた部屋の数は九軒(下赤塚一軒、高円寺八軒)になる。四十代に入ってから、引っ越しから遠ざかっていた。たぶん四十代最後の引っ越しになるだろう。
最初の単行本の印税で書庫兼仕事部屋(木造の風呂なしアパート)を借りたのは二〇〇七年十一月。赤字になったらすぐ撤収するつもりで借りた。
綱渡りながら十二年ちかく維持することができた。その部屋が老朽化のため、取り壊しが決まった。三回目の立ち退きである。
新しい書庫探しのため、不動産屋をまわる。最初に下見をした物件は家賃も間取りもほぼ条件通りだった。「ここでいいかな」とおもいながら不動産屋の担当者と下見に行った。そのとき、借りようかどうか迷っていたアパートの手前で引っ越しのトラックが前にも後ろにも進めず、立ち往生していた。
数分間だろうか。かなり長い時間におもえた。
その下見のさい、道でばったり旧友の河田拓也さんと会った。知り合ったころは、お互い、風呂なしアパート暮らしだった。下見のあと喫茶店で待ち合わせし、知り合いがはじめた店で昼酒(レモンサワー)。河田さんと話しているうちに、もうすこし探してから決めようと気が変わった。
何日か後、転居先の場所を絞り、近所の不動産屋に行くと、前の仕事部屋から歩いてすぐのアパートの一室が空く予定があると教えてもらった。
再び下見。部屋に入って数秒で「借りたいとおもいます」と即決した。まったく迷いがなかった。
部屋を借りるとき、そこでの暮らしが想像できるかどうかはすごく大事だ。新居は明るい未来が見えた……ような気がした。家から仕事部屋までの道のりが好きなコースだったのも即決した理由である。
新居に本を運ぶ前に本棚を並べておきたい。経験上、本を入れてしまうと本棚を組み立てる場所がなくなるからだ。ちょうど世田谷ピンポンズさんが高円寺に来たので手伝ってもらった。助かった。
この本棚に本が収まるのはいつの日のことか。それまでは落ち着かない日々が続く。自宅と旧仕事部屋と新仕事部屋の三軒をぐるぐるとまわる。いつまで新しい部屋を維持できるのか。あと何年くらい仕事ができるのか。そんなことを考えるひまがあったら、午後の散歩にでかけたほうがいい。
2019/07/01
終わらない歌
五月下旬から予定外のことが重なり、終わりの見えない作業に追われている。
諸事情により仕事部屋を引っ越すことになった。近所のスーパーに行くたびにペットボトルの段ボールを六、七枚もらう。ひたすら段ボールに本を詰める。箱がどんどん積み上がっていく。途中、古本屋に二度ほど本を売ったが、変化を感じられない。
掃除も仕事もいっぺんにやろうとせず、何分の一かずつ分割して順番に片付けていくのがコツだ。とりあえず、五分の一くらいを目安にはじめる。五分の一まで進めば、残りは五分の四。それまでにかかった時間や労力を基準に、残りの作業がどのくらいかかるか、漠然と見えてくる。
ここ数年、原稿を分割方式で書いている。十枚の原稿ならまず二枚書く。二枚書いたら休み、また続きを書く。細かく区切っていくほうが、時間の配分がしやすい。気持に余裕もできる。
自己啓発書では、よく「小さな目標」を立てろというアドバイスがある。目標までの道のりをなるべく小さく刻み、階段のように一段ずつのぼるイメージといっていいだろう。
困ったときは吉行淳之介の「草を引っ張ってみる」(『ずいひつ 樹に千びきの毛蟲』講談社ほか)という随筆の言葉をおもいだす。
《今日から十日のあいだに、短篇を一作書かなくてはいけない。五里霧中の状態で唸りはじめなくてはならないのだが、唸るにも体力がいる。本当に唸り声を上げることもしばしばある。こういうとき支えになるのは、これまでも何十回も切り抜けてきたことだから、たぶん今回もなんとかなるだろう、こういう考え方だけである》
諸事情により仕事部屋を引っ越すことになった。近所のスーパーに行くたびにペットボトルの段ボールを六、七枚もらう。ひたすら段ボールに本を詰める。箱がどんどん積み上がっていく。途中、古本屋に二度ほど本を売ったが、変化を感じられない。
掃除も仕事もいっぺんにやろうとせず、何分の一かずつ分割して順番に片付けていくのがコツだ。とりあえず、五分の一くらいを目安にはじめる。五分の一まで進めば、残りは五分の四。それまでにかかった時間や労力を基準に、残りの作業がどのくらいかかるか、漠然と見えてくる。
ここ数年、原稿を分割方式で書いている。十枚の原稿ならまず二枚書く。二枚書いたら休み、また続きを書く。細かく区切っていくほうが、時間の配分がしやすい。気持に余裕もできる。
自己啓発書では、よく「小さな目標」を立てろというアドバイスがある。目標までの道のりをなるべく小さく刻み、階段のように一段ずつのぼるイメージといっていいだろう。
困ったときは吉行淳之介の「草を引っ張ってみる」(『ずいひつ 樹に千びきの毛蟲』講談社ほか)という随筆の言葉をおもいだす。
《今日から十日のあいだに、短篇を一作書かなくてはいけない。五里霧中の状態で唸りはじめなくてはならないのだが、唸るにも体力がいる。本当に唸り声を上げることもしばしばある。こういうとき支えになるのは、これまでも何十回も切り抜けてきたことだから、たぶん今回もなんとかなるだろう、こういう考え方だけである》
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