2007/10/29

神田古本まつり、そして外市

 昨日、福岡から帰ってきて、今日は午前中から洗濯、掃除と家事をこなし、昼から神田古本まつりに行く。平日だと、人もそんなに多くなくて、ゆっくり本の中身をチェックしながら買える。

 二十六日から二十八日までの古書会館の即売展のほうは見れなかったけど、青空掘り出し市の品ぞろえは例年と比べていいような気がした。秋山清の『自由おんな論争 高群逸枝のアナキズム』(思想の科学社、一九七三年刊)の署名本が四百円で売っていた。ひょっとしたらたくさん客が来たとおもわれる日曜日の翌日の月曜日は狙い目なのかもしれない。

 神保町でも携帯電話で値段を調べながら古本を買う若い人も増えた。あんまりいい気分ではない。ある店の均一は本を上下に積んでいるから、底のほうの本も見たかったのだが、携帯セドリ君がなかなか場所をゆずってくれない。ちょっと興ざめ。

 途中、神田伯剌西爾(ぶらじる)でコーヒーを飲む。そうそう、このあいだまでずっと「伯剌西爾」を「伯刺西爾」と書いていた。「剌・ラツ」(正)と「刺・シ」(誤)なのだけど、パソコンの字が読みにくくて自分では判読できない。

 まもなく池袋往来座の第5回「外市」がはじまります。わたしも参加します。今回は本と手作りのアクリルたわしを販売。値段は二百円。洗剤なしでもきれいに落ちるし、スポンジたわしよりもずっと長持します。限定十個。早いもの勝ち。

 古本の値段つけはこれから。今回のメインゲストは吉祥寺の古本屋さん。前回の西荻窪につづいて「おに吉」と「わめぞ」の夢の共演です。あと中央線沿線からは友人のインチキ手廻しオルガンのオグラさん(元・青ジャージ、800ランプ)も、CD、豆太郎グッズ、手づくりの絵本などを出品する予定。さっき電話したら「何もせずに寝てばっかだよ」といってました。『オグラBOX 3枚組』(MIDI Creative)、売れるといいなあ。

 第5回 古書往来座外市〜吉祥寺より愛をこめて〜 約25名参加、往来座の外壁にズラリ2000冊! 雑貨、ガラクタも販売。包丁研ぎの実演もあり。

■日時 11月3日(土)〜4日(日)  3日⇒11:00〜20:00(往来座も同様) 4日⇒11:00〜17:00(往来座は22:00まで) 

■雨天決行(一部店内に移動します) ■会場 古書往来座 外スペース(池袋ジュンク堂から徒歩5分) 東京都豊島区南池袋3丁目8-1ニックハイム南池袋1階

▼メインゲスト 藤井書店(吉祥寺)、百年(吉祥寺)、バサラブックス(吉祥寺)

▼スペシャルゲスト 嫌記箱(塩山芳明)、古本けものみち(内澤旬子&南陀楼綾繁)、ハルミン古書センター(浅生ハルミン)、文壇高円寺(荻原魚雷)、伴健人商店(晩鮭亭)、ふぉっくす舎、不思議(はてな・千駄木)、やまねこ書店他、お客様オールスターズ(朝/Y‘s/おんじょろ)

▼わめぞオールスターズ 古書往来座(雑司が谷)、立石書店(早稲田)、m.r.factory(武藤良子)、旅猫雑貨店(雑司が谷)、リコシェ(雑司が谷)、kika zakka(ベトナム雑貨・雑司が谷)、ブックギャラリーポポタム(目白)、貝の小鳥、琉璃屋コレクション(目白)、版画製作・展覧会企画 ぶくぶっくす(「buku」・池袋)、退屈男(名誉わめぞ民)、

▼「本」だけじゃないのです! 刃研ぎ堂(包丁研ぎ)、古陶・古美術 上り屋敷(会場では特選ガラクタを販売)、オグラ(手廻しオルガンミュージシャン・雑貨、小物販売)、こまものや(小物=バッヂ、コースターなど販売) 

■主催・古書往来座 ■協賛・わめぞ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/

2007/10/28

ブックオカおぼえがき

 飛行機で福岡空港から地下鉄で天神に直行して、丸善、福家書店福岡店、ジュンク堂書店福岡店をまわる。
 気温二十五度。暑い。
 福岡に行く前日に、元リブロの人と飲んでいたのだけど、「博多は日本屈指の書店激戦区だよ」といっていたのは、ほんとうだった。

 今回のブックオカの目玉のひとつである「福岡の書店員65名が選んだ激オシ文庫フェア」を見る。

 いちばんのインパクトはこれでしょう。

〈『適当教典』高田純次(河出文庫)
 もし、高田純次が100人の村があったら……世界征服もやぶさかでない〉

                  丸善福岡ビル店 脊戸真由美

 この本、単行本のときは『人生教典』(河出書房新社)という題だった。わたしはこの本を読んで日当りのいい部屋に引っ越すことに決めた。人生、変わりましたよ、すこし。

 それから荷物を置きに東映ホテルへ。すぐちかくに書肆玄邑堂があった。はじめて入る古本屋は、棚が新鮮。店が細くて奥行きがあって、いいかんじだった。そのあとうどんを食う。

 しばらくホテルでくつろいでいたら、眼鏡の左側のツルのネジが折れる。
 旅先だから予備の眼鏡もない。かなり焦る。でもすぐちかくの地下街に眼鏡屋があり、無料で直してもらった。

 午後六時半からの丸善の南陀楼綾繁さんトーク「リトルマガジン・遊書日記」の前に、西新大古本まつりに行く。
 会場は、西新エルモールプラリバというショッピングセンターの七階催事場なのだが、昔、高田馬場BIGBOXの六階でやっていたときの古本市と雰囲気が似ていた。なつかしくてうれしくなる。
 天神に戻って、丸善の裏のほうの路地にある喫茶店で一息。
 西新の古本まつりでは『天神ストリート』(天神文庫、西日本新聞社)という本を買った。
 この本の中で、夏樹静子「蒸発 ある愛の終わり」、瀬戸内晴美「美は乱調にあり」、渡辺淳一「くれなゐ」、山村美紗「鳥獣の寺」、檀一雄「火宅の人」、椎名誠「モンパの木の下で 都市の貌」といった本の天神界隈の記述の抜粋が掲載されている。

《いま日本の街でもっとも活気があってイキオイがあってセンスがいいのは福岡だ》(椎名誠)

 話はそれたけど、南陀楼綾繁さんトークショーは、『プチブックレシピ リトルプレスの作り方』(毎日コミュニケーションズ)のyojohanさんもゲストで、いろいろ貴重な話を聞くことができた。

 そのあと、中華料理屋で今年のはじめごろ偶然、東京でお会いした福岡の名物(?)書店員のタカクラさんや石風社のFさん、numabooksの内沼晋太郎さん、貸本喫茶ちょうちょぼっこの福島さんたちと打ち上げ。鍋、うまかった。
 だが、場所も名前もおぼえていない。あともう一軒行って、ホテルに帰って熟睡。旅先ではよく眠れる。しかも早起きになる。

 二日目。とりあえず、荷物を天神のコインロッカーにあずけて、地下鉄で赤坂に。「おとなりキップ」というのが百円。福岡、バスも百円でいろいろまわれる。物価も安くて暮らしやすそうだ。あと地下街にもおどろいた。広い。
 駅ちかくの「レンガ」という店でコーヒーを飲む。

 けやき通りの「一箱古本市」。買った、買った、よかった、よかった、楽しかった。
 古本酒場コクテイルの常連で、今年福岡に引っ越したIさん(音羽館で働いていたこともある)とUさんも出品していて、山田稔さんの本など、いい本を並べていた。売り上げもけっこうよかったそうだ。ふたりとも元渋谷ブックファーストの書店員。
 今回いちばんの収穫は、竹中労の『自由への証言』(エフプロ出版、一九七七年)かなあ。はじめて実物を見た。うれしか。「週刊読売連載〈エライ人を斬る〉筆禍裁判の記録・私闘の論理」
 証言は、井家上隆幸、五木寛之、大島渚、今東光、松浦総三、丸山邦男、矢崎泰久。
 筆禍になった原稿は「佐藤寛子・庶民ぶるネコなで声の権勢欲夫人」。佐藤寛子はグラビアアイドルではなく、佐藤栄作の妻ですね。蛇足。

 途中、南陀楼さんのかわりに店番をする。場所は「ブックスキューブリック」(もし将来、町の本屋さんをやりたいとおもっている人は必見かも。福岡県外でも注目のミニ書店)の前。お隣さんは、以前これまた高円寺の古本酒場コクテイルで会ったことのある女の子。箱をみると、田中小実昌の『ぼくのシネマ・グラフィティ』(新潮文庫)がある。これ、持ってなかった。ブックカバー、おまけしてもらう。「古本UMA」と書いてある。
 店番中は、スタンプラリーのハンコ押しが忙しい。子どもがいっぱいくる。あとちょっとしたトラブルも発生。不思議な女性がいきなりわたしの隣に座り、南陀楼さんの本を勝手に片付け、自分の本を並べはじめ、カバンからカッターナイフを出して……。ちょっと怖かった。

 店番のあとは、入江書店、痛快洞、バンドワゴンをまわる。入江書店は、正統派の古本屋。近所にあったら通いたい。入江書店のちかくの「博多さぬきうどん」もうまかった。ここはまた来たい。
 痛快洞は、買わされた。いっぱい買ったら、割引してくれた。あとバンドワゴンは地下にある。迷った。安岡章太郎の『驢馬の学校』(現代史資料会)が買えて満足。ずっと読みたかった本を旅先で買えるとうれしい。
 一箱古本市の打ち上げは「東方遊酒菜ヌワラエリヤ」。店主の方は建築家だそうで、店内の天井まである本棚(高そうな本がいっぱいあった)は壮観だった。
 焼酎を飲んでいるうちに、わけがわからなくなる。
 そのあと中華料理屋(場所、おぼえていない)で、また焼酎。どんどん濃くなる。最後のほうはストレート。そのあと南陀楼さん、福島さん、内沼さんとこの日家に泊めてもらう約束をしていたIさんとUさんともう一軒(※1)行ったのだが、睡魔におそわれ、注文した飲み物がくる前に寝てしまう。一日中歩きどおしだったからなあ。

 そのあとIさんとUさん宅に一泊。
 地下鉄七隈線(この地下鉄、電車好きはいちばん前の車両に乗るべし。運転席のしきりがないから、地下鉄の中がよく見える)で早朝、天神に向い、コインロッカーで荷物をとり、中洲川端まで散歩。天神中央公園でぼーっとする。「新たなポテンシャルをたくわえて中洲ゲイツ、再始動」という看板を見て、わたしも再始動しようと心に誓う。
 まだすこし時間があったので、地下鉄で博多駅に出る。福岡交通センタービルのバスチカ商店街をうろうろ。バスチカ。響きがかっこいい。太郎うどんでかけうどん。この店、ラーメン屋とつながってるのだけど、早朝はうどん屋だけ営業している。

 スカイマークで東京に帰る。早い、飛行機。でも旅情なし。
 来年も行きたい。二泊三日はぜんぜん足りん。今度はラーメンも食おう。あと中洲の屋台も。

 家に帰ると、原稿の催促が……すみません、仕事します。
 というわけで、これから小杉湯につかってきます。今日は漢方薬草の湯。

(追記)
※1 古本喫茶coffinでした。南陀楼綾繁さんのブログにて判明……。

2007/10/25

福岡へ

 明日からブックオカに行きます。昨年、書肆アクセスの畠中さんから、ブックオカの話を聞いて、今年はなにがあっても行こうとおもっていた。今回の目当ては、けやき通りの「一箱古本市」(二十七日)と「第3回 西新大古本まつり」(リブロ西新店共催)。

 それで飛行機の格安チケットをとる。
 スカイマークで東京・福岡間往復で二万円ちょっと。新幹線で大阪に行くより安い。知らないうちに、世の中こんなことになっていたのか。プラス三千円でホテルに一泊というプランもある。二泊三日のうち、一泊しか予約できなかったけど、まあ、なんなんとかなるでしょう。
 ひさしぶりだなあ、九州。
 二十一世紀になってから、はじめてかも。

 前に取材で行ったときは、新幹線分のチケット代をもらって、青春18きっぷで行ってその差額で、一泊二日の予定が二週間くらい滞在した。単に、電車賃なくなって帰れなくなったのだけど、飲み屋で知り合ったおじさんにキャバレーに花を届けるアルバイトを紹介してもらって、なんとか東京に帰ってくることができた。

 ほんとうにいいところだなあ、とおもった。