2021/09/09

書くインタビュー

 緊急事態宣言再延長。都内、感染者数は減少傾向だが、ワクチン接種率がもうすこし上がるまではガマンといったところか。

 佐藤正午著『書くインタビュー4』(小学館文庫)を読みはじめる。『3』は二〇一七年五月刊だから四年ぶりの刊行——。

 デビュー当初、佐藤正午は安岡章太郎に「けちょんけちょん」に貶された。『ビコーズ』のあの台詞がそうだったのか。

 この巻はインタビュアー(メールでの往復書簡っぽい体裁)に盛田隆二も登場する。
 どこまで本当でどこまで嘘か。本当の中に嘘があって嘘の中に本当が混ざっているかんじ。というわけで、このシリーズは一巻からずっと半信半疑のまま読み続けている。盛田隆二も架空の盛田隆二なんじゃないかと……。

 中年以降、いろいろな感覚が鈍くなったせいもあるが、本を読んでいて、作家から怖さを感じることが減った。しかし佐藤正午の「書くインタビュー」シリーズは自分の読みにまったく自信が持てない。そこが怖い。

 わたしは佐藤正午を(熱烈に)愛読するようになったのは、エッセイ「転居」(『豚を盗む』光文社文庫)を読んだのがきっかけだった。

《生きることの大半はまず、繰り返しである》

 繰り返していくうちにちょっとずつ変わる。わたしはそういう変化の仕方を好ましくおもっている。マンネリ、ワンパターンが嫌いではない。