2023/02/05

武蔵野

 このところ、仕事三、掃除七くらいの日々。やはり、本や資料を右から左に動かしているだけでは片づかない。解決策はものを減らすしかない。それがむずかしいわけだが。

 月曜午後三時すぎ三鷹へ。前日飲みすぎて二日酔いになるかと危惧していたが、楽しい酒だったおかげか、おもいのほか体が軽い。酒の席で、途中、何度となく固有名詞がおもいだせない問題が発生した。「志賀直哉の弟子で将棋と釣りが好きな……」といいかけ、瀧井孝作の名前が出てこなかった。

 三鷹のりんてん舎と水中書店、そのあと吉祥寺まで歩いて古書防波堤に行く。
 りんてん舎、きだみのる著『初めに部落ありき』(レインボウブックス、一九六五年)を買う。カバーの装画、本文のカットは秋野卓美。秋野は梅崎春生の小説にしょっちゅう登場する風変わりな画家である。

 水中書店で『中西悟堂生誕120年 野鳥の父、中西悟堂をめぐる人々』(杉並郷土博物館、二〇一五年)。悟堂は井荻町(善福寺池の近く)に暮らしていた。
 他にもなかなか見ることのできない詩集を何冊か手にとる。ふと今年田村隆一生誕百年だったことをおもいだす。一九二三年三月十八日生まれ。関東大震災の年、大杉栄、伊藤野枝、橘宗一少年百周忌でもある。

 三鷹から吉祥寺までの道は歩いていて楽しい。中町通りはひさしぶり。ずいぶん雰囲気が変わった気がする。

 吉祥寺の防波堤は地図なしで行けるかどうかちょっと不安だったが、無事辿り着けた。横田順彌著『SF事典 異次元世界の扉を開く』(広済堂ブックス、一九七七年)など。「史上最短のSF」は「時間は終わった。昨日で」(ロジャー・ディーリー作)とのこと。

 そのあと吉祥寺の七階建てのユニクロにはじめて入る。長袖ベージュのヒートテックがほしかったのだが、なかった。