木曜と日曜、西部古書会館に二度行く。スティーリー・ダンの再結成後のライブビデオ(PINE KNOB,MI '96)が三百円。かれこれ三十五年、古書会館に通っているが、ビデオテープを買ったのははじめてかも。あと山本正勝著『双六遊美』(芸艸堂、一九八八年)など。『双六遊美』は大判の本(函付)で「道中双六」の詳しい解説と図版あり。
《初期の道中双六では、この江戸と京、大坂の間に六十から百五十以上の宿を設けている。幕末に近づくにしたがって宿の数は整理され、俗にいう東海道五十三次に落ち着いてくる》
東海道の双六は箱根で止まるとふりだし(江戸)に戻ったり、大井川で二、三回休みになったりするものもあった。五街道の脇筋だけをあつかった双六も作られていたらしい。
《道中双六は決して単なる道中案内的な版画ではなく、当時の第一線の絵師・摺師・彫師の総力を結集した芸術作品であると同時に、当代の風潮や流行を敏感に反映した先端的情報文化であったと考えてよい》
著者の山本さんは双六のコレクター。一生かけて一つのことを追い求める。「何とか一筋」みたいな人生に憧れる気持がある。そういう生き方にも向き不向きはある。
山本さんは双六という入口から浮世絵や歴史を掘り下げている。こういう絞り込み方は隙間産業系ライターのわたしにとって非常に参考になる。
時間もお金も体力も限りがあるから、何かしらの縛りが必要になる。
もちろん漠然と散漫に雑駁に何かを追いかけてとっちらかる時期があっていい。大きなテーマにがっぷり四つで取り組むことが好きな人はそうすればいい。
いずれにせよ、サイコロを振り続けるしかない。