雨が降ったりやんだり。野菜を刻み、小分けにして冷凍する。ニンジンやダイコンなどの根菜を手で持つのがむずかしい大きさになるまでピーラーで削るのも楽しい。無心になれる。
ふだんは朝寝昼起なのだけど、数日前から昼寝夜起になり、夜寝朝起になる。この睡眠時間がズレるパターンのようなものを知りたいのだが、いまだにわからない。
そういうわけで、土曜、午前十時ちょうどに西部古書会館。『東海道五拾三次 広重の旅 保永堂版 行書版 隷書版』(富士美術館、一九七九年)、古文書解読指導研究会編『古文書参考図録』(柏書房、一九七九年)を二百円。他にもいろいろ買ったが、今回は草古堂の本が多い。草古堂の幕張店は行ってみたい。地図を見たら、近くに房総往還が通っている。歩きたい。
『東海道五拾三次 広重の旅』の庄野宿は「石薬師をたって鈴鹿川にそう山道をのぼること四キロ、庄野宿にいたる。日本武尊の白鳥に化して崩(かむあが)りたもうた折の思国歌(くにしぬびうた)は清らかで美しい」とある。庄野宿のもより駅の加佐登駅を北(宿場は南)に行くと、近くにヤマトタケルの形見の「笠」と「杖」をまつった加佐登神社があり、古くからヤマトタケルの御陵と伝えられてきた白鳥塚古墳がある(現在は亀山の能褒野古墳がそういわれている)。
子どものころ、庄野宿付近の鈴鹿川でときどき釣りをしていた。このあたりは平地である。加佐登神社はカブトムシやクワガタがよく捕れた。広重の庄野宿の絵——隷書版は平地の風景が描かれている。すくなくとも山道ではない。有名な保永堂版「庄野の白雨」(峠道の絵)より、隷書版はわたしが知っている庄野宿に近い。ちなみに加佐登神社や白鳥塚古墳に向かう途中に「庄野の白雨」の風景と似た感じ坂がある。行書版の亀山宿の絵も「庄野の白雨」と構図が似ている。まあ、この問題は保留ということで。
『古文書参考図録』はビニカバ付の美本。「“調べる歴史”への入門シリーズ」の一冊。図版がたくさん載っている。第四章「交通・運輸」に「五街道の宿駅」「五街道と主要脇往還図」あり。また道中風俗、宿場、舟渡し、橋などの絵を多数収録。「運輸」の項には頭上運搬、前額運搬の絵もあった。前額運搬はおでこに紐をかけ、籠みたいなものを背負う運搬。大八車や倍荷車(べかぐるま)の絵、ねこ車の写真も。なんとなく資料になりそうとおもって買ったら、大当たり。
不案内な分野をすこしずつでも理解していくには、なるべく全体の大枠みたいなものを掴んでから、細かいところを掘り下げるほうがいい。もちろん読みたい本を読みたい時に読み、ひとつのことが別の何かにつながっていく感じもわるくないというか、昔からわたしはそういう読書のほうが好きである。ただ、行き当たりばったりの乱読だと関心が拡散してキリがない。キリはないが、退屈はしない。