2024/08/03

神保町から

 木曜、神保町で仕事。夕方、ちょっと時間が空いたので小諸そば、ねばとろぶっかけそば(とろろ・めかぶ・おくら)。家でもねばとろそば(うどん)はよく作る。とろろの代わりに納豆と卵豆腐をかきまぜペースト状にしたもの、なめこなどを入れる。もともと小諸そばはすずらん通り店ではなく、東京パークタワー店によく行っていた(二〇二〇年九月閉店)。夏季以外は小諸そばの温かいうどん派である。
 澤口書店のワゴンで神野力著『吉備路』(岡山文庫、一九六七年)。探していた本。ちょっとよれていたけど、読む分には問題なし。巻末に折り込みの吉備路地図も付いている。血吸川という川があるのか。すごい名前だ。
 そのあと九段下方面の古本屋をまわる。『群馬の詩人 近現代の革新地から』(群馬県土屋文明記念文学館、二〇〇四年)、『太宰治と檀一雄』(山梨県立文学館、二〇〇〇年)を買う。文学展パンフ、今回の二冊はかなりよかった。

『群馬の詩人』は「第16回企画展 群馬文学全集刊行記念」。湯浅半月、田山花袋、山村暮鳥、萩原朔太郎、大手拓次ら五十人以上の顔写真(ない人もいる)、詩集の書影、略歴などを収録。「アナキズム・前衛詩」の項には東宮七男、萩原恭次郎、豊田勇、塩野筍三、坂本七郎、横地正次郎、大島友次郎、吉本孝一の名前あり。
 同パンフの詩人では幻想詩の岡田刀水士(とみじ)が気になった。一九〇二年前橋生まれ。朔太郎の弟子。群馬県師範学校時代、毎週のよう朔太郎の家に通った。卒業後、倉賀野小学校で訓導として赴任、一九四三年、教員を退職し、国鉄高崎青年錬成所の教官になる。戦後、国鉄の文芸誌『鉄の薔薇』の創刊にかかわり、国鉄職員のサークル詩の指導をしていたとのこと。国鉄の文芸は未知の世界だ。

 刀水士の詩「巨獣」の最初の四行はこんな感じ。

《あの町の燈はまだ暗く
 急いでいる路の方角が不安になつてきた。
 ときどき立ち止まつては
 軀を痛めてまでひき返そうと思う。》

 再び仕事に戻る。帰りは中野駅から歩く。北口のヨークフーズとブックファーストに寄る。中野セントラルパークを通る。今週の土曜・日曜に盆踊りがある(盆ジョヴィで有名)。

 近所のスーパーの米の棚がスカスカになっている。最近よく買っている米がなくなっていて不安になる。他の米の値段も上がっている。