2014/10/21

原点回帰と進化

 10月12日(日)、高円寺ペンギンハウスで「ノラペンギンの夜」、10月13日(月・祝)、吉祥寺JBでオグラ文化祭、10月19日(日)、中央林間のパラダイス本舗で東京ローカル・ホンクのライブを見た。

 先月末から岡山から藤井豊さん、中旬は京都から東賢次郎さんが上京し、仕事部屋で合宿状態だった。東さんはペンギンハウスにはバンドのつれ・づれで出演し、滞在中、連日ペリカン時代で飲んでいた。

 とはいえ、この間、しめきり続きで、節酒……していたことになっている。寝ている時間と飲んでいる時間以外の大半は仕事をしていた(自己新記録を更新するくらいの仕事量だったのです)。

 昔、出版関係の仕事をしている先輩が、「四十代は目先のことばかりやっているうちに、あっという間に十年くらいすぎてしまう」といっていた。その話を聞いたときは、まだわたしは三十代の前半くらいで「目先の仕事でも何でもいいからほしい」とおもっていた。今はよくわかる。

 かけだしのころと比べれば、多少は効率よく仕事ができるようになったのだが、一本一本の仕事をしたあとの疲れがちがう。休み休みやっているつもりでも、あんまり休んだ気にならない。

 自分の中で、オグラさんの「次の迷路へ」の「見つからないものを探しに」という詩、東京ローカル・ホンクの「夜明け前」の「もっとちがう何か」という詩も深く胸に残っていた。

 この曲を作ったあと、ふたりは次にどんな曲を作るのだろう。

 オグラさんの新曲「船乗りマイペ」は、音楽をはじめたころの感性と熟練の職人技を合わせて作ったような見事としかいいようのない曲だった。曲の出だしから「そうきたかー」とふるえた。バカバカしくて、おもしろくて、かっこいい、ごった煮の音楽。

 東京ローカル・ホンクの新曲「遅刻します」も、まだ見ぬ世界を見に行こうというようなおもいがこめられていて、今の自分のもやのかかった視界がひらける気分を味わった。木下弦二節としかいいようがない曲だった。

 ミュージシャンは、原点回帰しながら進化する。たぶん、すごく大きなものを受けとった気がするのだが、しばらくは消化できそうにない。