2022/12/03

雑記

 最近、日常の行動範囲を広げたいと考えている。散歩のルートがちがえば、見える景色も変わる。小さな変化が積み重ねが、自分の思考や感覚にどんな影響を及ぼすのか。何も変わらないならそれはそれでいい。

 この十日くらいのあいだに野方を四度歩いた。高円寺と野方は徒歩二十分くらい。火曜日、小雨。西武新宿線の都立家政を目指し、高円寺北口の商店街を歩いていたら、古本ツアー・イン・ジャパンさんとサンカクヤマの前で遭遇する。軽く挨拶する。早稲田通りを越え、大和町の中央通りをまっすぐ北へ。高円寺からは都立家政も野方と同じくらいの距離だ。
 今年、中野区の大和町、若宮あたりにワゴン車のコミュニティバスが運行する予定というニュースを見た。今は実験走行中のようだ。

 ブックマート都立家政店……なんといったらいいのか、長い年月をかけて熟成されたお宝とガラクタのごった煮感がいい。本だけでなく、CD、レコード(レア盤あり)、おもちゃ(バルタン星人の人形など)もある。矢口高雄のエッセイ集などを買う。
 都立家政の北口を歩いて新青梅街道から野方へ。都立家政と野方は近い(徒歩で七、八分)。野方の北口の商店街のサカガミというスーパー、近所の店ではあまり見かけない刺身(カワハギ)が売っている。郷里にいたころ、カワハギ(地元ではハゲと呼んでいた)の干物をよく食べた。いつも家にある魚だった。志摩にいたおば(母の姉、板前)がしょっちゅう送ってくれていた。野方に行けば、(いつでもかどうかはわからないが)カワハギが売っているとわかったのは嬉しい。あと近所のスーパーはコチ(マゴチ)があんまり売っていない。年をとったせいかどうかはわからないが、肉より魚が好きになっている。

 以前、野方の南口に前にふらっと入った喫茶店があり、ひさしぶりに寄ったら居心地がよかった。古本屋に寄り、家に帰る前に喫茶店に入り、買ったばかりの本を読む。

 店を出る。雨と風が強くなっている。バスに乗るのもありかなとおもったが、歩いて帰ることにした。

2022/11/29

横浜

 十一月二十五日(金)の午後一時すぎ、新宿駅から湘南新宿ラインに乗る。武蔵小杉駅をすこし過ぎたところで富士山が見えた(建物の間から、ほんのちょっとだけ)。

 横浜駅で地下鉄(みなとみらい線)に乗り換え、元町・中華街駅へ。
 以前は東横線で桜木町駅まで行くことが多かった。何度も降りているのに横浜の地下鉄はいまだに迷う。目的地の反対側の出口(中華街のほう)から出てしまう。中華街でちまき、まいばすけっとでビールを買い、公園で飲み食いする。
 数日前に阿佐ケ谷の古本屋で神奈川近代文学館の川端康成の文学展の招待券をもらっていた。川端展は過去にもいろいろな文学館で開催されている(文学展パンフの数も多い)。書画骨董などのコレクションがすごい。三島由紀夫といっしょの写真を見て、今、小説をまったく読まない人でも顔と名前を知っている作家はどのくらいいるのかと考える。展示を見て、吉田健一と川端康成の文学展パンフを買う。

 関内駅まで歩いて地下鉄で弘明寺(ぐみょうじ)駅へ。前号の『フライの雑誌』の取材(大岡川沿いを歩いた)を通して好きになった町だ。鎌倉街道らしき道も通っている。

 地下鉄ブルーラインと京急の駅のあいだの商店街がいい。

 柳屋という衣類などの激安店があり、新調したいとおもっていた掛け布団カバーを買う。五百九十八円だった。前に行ったときは九十八円の枕カバーを買った。
 地下鉄の弘明寺駅に着いたのが夕方で京急の弘明寺駅あたりで日没になる。
 駅から坂と階段をのぼったところに弘明寺公園があり、横浜の夜景の名所としても有名だ。前に弘明寺に行ったときはまだ明るい時間帯だったので夜景は見ていない。
 公園の展望デッキも登る。西の空はかすかに夕焼けが残っていたが、港方面は見事な夜景だった。高校生くらいのカップルが二組いた。邪魔したな。

 帰りは京急で品川駅まで行こうかどうか迷ったが、横浜駅でJRに乗り換えると電車が遅延——すぐ改札で入場券を払い戻し、東急に乗り換え、渋谷駅へ。渋谷もひさしぶり。渋谷ヒカリエで惣菜を買う。
 新宿駅からJR総武線に乗ると映画「月の満ち欠け」の中吊り広告があった。映画の宣伝と横に岩波書店の佐藤正午の単行本と文庫の広告も。この日、行き帰りの電車の中で佐藤正午著『小説家の四季 1988−2002』(岩波現代文庫)を読んでいた。

 一時期激減していた電車の中吊り広告がやや復活したような気がする。

2022/11/27

狛江

『フライの雑誌』最新号(126号)届く。わたしは島村利正と多摩川の話を書いた。島村は狛江市に長く暮らしていた作家で釣りも好きだった。島村利正著『随筆集 多摩川断想』(花曜社)を読んで、狛江を歩きたいとおもっていた。
 十月下旬、はじめて小田急の狛江駅で降りた。さらに十日後——。

 先日、三重と大阪に行った帰り——郷里の家から朝六時前の電車で名古屋に出て、名鉄の特急で豊橋まで行き、JRの在来線で浜松駅で下車。馬込川をすこし歩いて、金券ショップで新幹線の切符を買い、こだまで小田原駅まで行き、小田急に乗り換える。
 途中、登戸駅で下車した。多摩川沿いの登戸の渡し(跡地)を見て、多摩川水道橋を渡り、狛江駅へ。短期間に二度狛江を訪れた。
 前に歩いたときには寄らなかった南口の商店街を散策する。住宅街も歩いた。荷物がなければ、野川まで歩きたかった。

 一、二度、訪れたくらいでは何もわからない。それでも町の名前を聞いて、ぼんやりと風景が頭に浮ぶ。今はそういう町が増えることが楽しい。降りたことのない駅、見ていない川——すこしずつ歩きたいとおもっている。家でごろごろしている時間が外でだらだらしている時間になっただけともいえる。