2017/06/25

オールマエノニッポン

 二日連続で十時間以上寝る。ここ数日、からだと心がバラバラになっているくらい疲れていたのだが、散歩と家事に専念しているうちに、ようやく落ち着きを取り戻す。

 土曜日、新宿のルミネtheよしもと「能町みね子のオールマエノニッポン」。
 森山裕之さんのスタンド・ブックスから出た前野健太著『百年後』の刊行記念特別講演。

 受付は退屈男さん。今、スタンド・ブックスで働いている。
 能町さんとグランジの遠山大輔さんが、ラジオの生放送中……という形式で、合間にPOISON GIRL BAND、ライス、シソンヌ、インポッシブルの漫才&コント、前野さんの歌が入る。お笑い芸人の舞台を生で観る機会はなかなかないのだが、みんな、声の張りのすごい。ふつうの人と内蔵されているアンプがちがう。おもしろいのは当たり前で、パフォーマーとしての身体能力みたいなものが、売れるかどうかの鍵なのかもしれない。
 それだけ厳しい世界でもある。いいものを観た。

 前野さんのライブはひさしぶり。昔のヒリヒリした緊張感が和らいで、楽しそうに歌っているのが伝わってくる。
 後半、前野さん、能町さんのトーク+歌もよかった。「オレらは肉の歩く朝」は能町さんバージョンで音源化してもいいとおもった。学生時代、バンドやっていたという話をエッセイで読んだ。

 新宿、高円寺で飲んで、また熟睡。

2017/06/23

家庭の自助

 わたしがちょっと気にいらないことをいう。母はたいてい聞こえないフリをして、すこし間をあけて、わたしの記憶にない幼少期の話とか母自身の子ども時代の苦労話とか父の失業中の話とか、こちらの反論しようにも反論できないことに怒りはじめる。

 母が聞こえないふりをしたら即座にその場を離れる——他の選択肢はない。
 小学校の四、五年生になると、母が怒り出すときのパターンがおぼろげにわかってきて、五回に一回くらいは回避できるようになった。

 ところが、自分も母と同じような攻撃をやろうとおもえばできてしまうのである。負の連鎖は根深いですよ。ほんとうにいやなのだが、油断すると親譲りのヘンなスイッチが入りそうになる。
 スイッチが入りそうになると、何でもいいから、なるべく楽しいこと、好きな本や漫画や音楽のことを考える。
 瞑想やスポーツ心理学からその技術を学んだ。不安や怒りの感情は、自分が作りだす。作り出せるのであれば、それを切り離すこともできる。コントロールすることもできる。
 どうすれば、穏やかな人間になれるのか。

 先月、帰省したときにひさしぶりに「母地雷」を踏んでしまった。
 聞こえないふりからの意味不明かつ理不尽な口撃をくらい、心身ともに消耗した。もう諦めている。

2017/06/22

新刊の告知

 来月、発売予定の『日常学事始』(本の雑誌社)がようやく一段落した。いつも「朝寝昼起」の生活なのだが、ここ数日は「昼寝夜起」になっていた。「日常」に戻るにはもうすこし時間がかかりそう。
 三年前に刊行された岡崎武志著『貧乏は幸せのはじまり』(ちくま文庫)の巻末の「貧乏対談」で洗濯ネットのことを喋った。それを読んだ編集の宮里潤さんが企画した本でもあります。なぜか洗濯ネットにサインを書いた。

 二十八年前に三重から上京して、右も左もわからなかったころ、自分が切実に知りたかったこと、気づかなかったことをおもいだしながら書いた。「日常学」という言葉は、アンディ・ルーニーの『日常学のすすめ』(井上一馬訳、晶文社、一九八四年刊)からとった……という話は「あとがき」に書いた。わたしは一九八〇年代のアメリカのコラムニストのライフスタイルコラムが好きで、これまでもちょこちょこ生活に関する雑文を発表してきたのだけど、一冊丸ごと、生活ネタの本は初の試みだ。ちなみに、『日常学のすすめ』は、ニューヨークタイムズのベストセラーランキングで十週連続ナンバー1を記録している。あやかりたい。

 本の完成前は期待と不安がせめぎ合う。これまでは不安のほうが大きかった。『日常学事始』は期待……とはちょっとちがうのだが、今までにない手応えみたいなものを感じている。表紙も素晴らしいですよ。感涙。

 同じころ、岡崎武志さんも新刊『人生散歩術(仮題)』(芸術新聞社)も出ます。東京堂書店でトークショーもする予定です。詳しくはまた。