2015/08/10

原民喜

 ひさしぶりに午前中に目がさめる。仕事の原稿が行き詰まっている。
 高校野球を観て、西部古書会館に行く。文庫、文学展のパンフ、随筆集など。

 仕事のあいま、原民喜著『幼年画』(サウダージ・ブックス)を読む。解説は蟲文庫さん。一九三五年から一九四一年にかけて書かれた初期の短篇、一九四八年の「朝の礫」などが収録されている。

 戦後何年、原爆といった先入観なしに読む。好奇心旺盛な少年の目で日常生活が綴られている。本人自身、ずっと子どもみたいな人だったそうだ。
 文章は軽やかで一九三〇年代に書かれたとはおもえない。

 年譜を見ると、原民喜は二十歳でスティルナーや辻潤を読み、ダダイズムに興味を持ち、その後、左翼運動に傾倒する。「昼寝て夜起きるという生活の中で読書や創作に専念」していた。家は裕福だったが、たぶん生活能力はあまりなかった。

 先月、岩波文庫から『原民喜全詩集』も刊行された。
 詩も素晴らしい。