この冬はじめて「温楽」を貼る。
体調をちょっと崩してしまい、黒豆と豆腐の雑炊を作る。
一日中寝たきりですごす。
二ノ宮知子の『のだめカンタービレ』(講談社)の二十三巻を読む。とうとう最終回をむかえた。ほんとうに終わったのか。予想していた結末とはちがった。
最後は千秋とのだめが日本に帰ってきて、RS(ライジングスター)オーケストラで共演……というカタルシスたっぷりのお約束の大団円を期待していた。
一巻から読み返すことにした。
完璧主義の天才千秋真一と野生味あふれる天才野田恵(のだめ)だけでなく、ヴァイオリンの腕はそれほどでもないが、「やる気120%」の峰龍太郎も重要な存在だったことにあらためて気づく。
音楽の才能とは別に、「場」を作る才能がある。
RSオーケストラは、飛行機(船も)恐怖症で海外に行けず、くすぶっていた千秋、就職難その他で活躍の場のない若い音楽家たちにとって、大切な「場」だった。「場」を作り、持続させていくためには、おそらく峰のような、おもいこみの激しい「バカ」が必要なのである。
パリに行った千秋はプロになっていて、日本にいたころの欠点はほぼ克服されている。
あるていど成長してしまった主人公が、もっと上のレベルを目指すという展開は、どうしても行きづまりやすい(※水島新司の『ドカベン』のプロ野球編など)。
作者はそのことをわかった上で、そのむずかしさを描こうとした。偉業といってもいい。雑誌の屋台骨を支えていた連載だっただけに続けざるをえなかったのかもしれないが。印象に残るシーンやセリフは巻数の少ない国内編のほうが多い。海外編は、調べて描かないといけないことが増えすぎて、遊び(デタラメ)の要素が減ってしまったからだとおもう。
もし千秋とのだめがパリに行ったあとの峰を中心としたRSオーケストラの日々を描いた「番外編」(※出るという噂がある)が出たら読んでみたい。