『本の雑誌』十二月号「特集 オモロイ純文運動!」のアンケートに答えた。三冊の選書中、小説はマジメ、随筆はオモロイみたいなパターンについても考えたが、結局、好きな作家の好きな作品を選んだ。
火曜日夕方、東高円寺へ。桃園川緑道、ニコニコロード経由蚕糸の森公園。蚕糸の森公園の芝生の上を歩く。樹木も多く池もある。いい公園だ。モミジやイチョウの葉の色づきは日当たりや寒暖差が関係している。
そのあと三徳新中野店、ピザトースト、武蔵野うどん(生麺)など。
東高円寺を頻繁に散歩するようになったのはコロナ渦以降である。ニコニコロードのオオゼキ東高円寺店が閉店して二年ちょっと、文房具をよく買っていたコモ・バリエという百円ショップが閉店したのもそのころか、そのすこし前か。
高円寺の馬橋公園、中野の四季の森公園もよく散歩する。どちらの公園も芝生あり。
馬橋公園から斜めの道を歩いて阿佐ケ谷方面に向かい、けやき公園(屋上)、それから桃園川緑道を通って高円寺に帰るのもお気に入りのコースだ。散歩のときは体重が足の裏全体にかかる底が平らの靴を愛用している。芝生や土の上を歩くと心地よい。
水曜日夕方、駅前の高野青果で「そい」の刺身が値引していたので買う。茶処つきじでほうじ茶を買う。
吉村冬彦著『橡の實』(小山書店、一九三六年)を読んでいたら、「植物が花を咲かせ実を結ぶ時はやがて枯死する時である」「いつまでも花を咲かせないで適当に貧乏しながら適当に働く。平凡なやうであるが長生きの道はやはりこれ以外にないやうである」(昭和十年十月十一日)とあった。橡の實は「とちのみ」と読む。わたしは「くぬぎのみ」かとおもっていた。
この本は没後刊行。吉村冬彦(寺田寅彦)は一九三五(昭和十)年十二月三十一日に亡くなった。享年五十七。「適当に貧乏しながら適当に働く」はいい言葉だ。寺田寅彦は病弱だったにもかかわらず、多趣味かつワーカホリック気味だった。あと貧乏じゃなかった。「適当に」は願望だろう。
わたしはまもなく五十六歳。三、四十代のころはずっと先のことだとおもっていた還暦が近づいてきた。昔、公園で日向ぼっこしているおじいさんを見て「何を考えているのだろう」とおもったことがある。たぶんたいしたことは考えていない。