五年ほど前、立退きをせまられ引っ越しをすることになった。
七月末、テレビで毎日のように熱中症のニュースが報じられているころだった。からだの水分がすべて入れ替わるくらい汗をかいた。
それにしても本は重い。
ヤマト運輸でアルバイトしている友人と元ペリカン便のセールスドライバーの友人に手伝ってもらった。
彼らは本の多い家の引っ越しがいちばんいやだといっていた。
ダンボールにぎっしり詰めこんであったりすると、プロでもキツいのだそうだ。
愛書家なら、引っ越しや古本屋に本を売るとき、運ぶときに苦にならないような荷造りをするべきだとおもう。
わたしはペットボトルのダンボールをよく利用する。一・五リットル×八本と二リットル×六本のものがある。コンビニやスーパーに行けば、いくらでももらえる(店によってはすぐ裁断してしまうところがあるので、前もって必要な数をいっておくといい)。
文庫がちょうど三列はいる(二リットル×六)。単行本のおさまりもよい。ちなみにCDやレコードもうまい具合にはいる。
二段、三段に積んでおけるし、それほど重くならない。以前、本を売ったときに使ってみたら、「これは運びやすいですね」と古本屋さんにも好評だった。
とはいえ、二百箱以上になると話は別だ。結局、新居には三分の二しか運ぶことができず、残りは売ることになった。
本のマナーについていろいろ考えてみたい。
(……以下、『古本暮らし』晶文社所収)