……楽しいイベント続きで、酒量が増える。
ようやく春を実感。でも衣替えはまだ。
金曜日、ブックギャラリーポポタムの企画展「十二篇」に行く。木村衣有子さんと武藤良子さんのトークショー(『もの食う本』ちくま文庫のコンビですね)。
展示は、木村さんの短篇連作を武藤さんが壁に字を書き、絵をつけたもの。山雀さんのジーンズの話が読まされたのだけど、このおもしろさを説明するのはむずかしい。いつか機会があったら、読んでみてください。
土曜日、西部古書会館の「古本博覧会」に行く。今、いちばん楽しみにしている古本催事かもしれない。
この一年くらい関心領域(アメリカのコラムと私小説)が狭くなっているような気がするので、「古本博覧会」のようなバラエティに富んだ出品の古書展はありがたい。
日曜日、ひさしぶりに下北沢。ほん吉、古書ビビビをまわり、いーはとーぼで珈琲を飲む。のんびりしていたら、午後六時前。
風知空知のオグラさんの『次の迷路へ』のレコ発ライブの時間がせまっている。ライブはたっぷり三時間。前半がソロ、後半はオグラ&迷ローズのバンド編成だった。
新しいアルバム『次の迷路へ』は、時間をたっぷりつかって録音された多彩かつ完成度の高い曲ばかりだ。
昔のアニメの主題歌や歌謡曲、唱歌、合唱曲、ロック、シャンソンとオグラさんが通過した音楽が、まざりあって新種のポップスに生まれ変わっている。
ステージの桜の花を散らしながら無邪気に歌う。「心配禁止」や「ビル風と17才」は、ライブで聴くとたまらない。「それゆけ貧乏紳士」のチンドン隊とのセッションもよかった。オグラさんの初バンジョーも聴けた。
アルバムタイトル曲「次の迷路へ」は、「見つからないもの」を探す決意を歌っているのだけど、「わかりやすさ」ではなく、「わからない」ところに踏み込んでいく覚悟が伝わってくる。
今年のはじめにオグラさんが二十歳前後にやっていたバンドの青ジャージの再結成ライブを見たときにもおもったことだけど、ジャンルにはまりきらず、安易な共感を求めない姿勢は、昔から変わっていない。簡単に答えのでないことの先にある「普遍性」を探して、ずっと「迷路」をさまよっているようにもおもえる。
今回のアルバムでいえば、「あなたの暗闇」がその迷路の先の扉をあける鍵のような気がする。