2013/05/13

泥魚と人生

 急に暖かくなった。まだコタツは出ている。いや、コタツは年中出ている。そろそろコタツ布団をしまうかどうか考えている。

 毎年、四月の終わりから五月のはじめにかけて、調子を崩しがちだった。それで十二月から三月くらいまで、無理をせず、休養を十分とることを心がけた。
 人生四度目の吉川英治の『三国志』を通読中。何度読んでもおもしろいし、初読、再読のときに見落としていた言葉にいろいろ教えられる。
 曹操との戦いに敗れ、荊州に落ちのびる途中、関羽が「泥魚と人生」の話をする場面がある。
 泥魚(でい)は、日照りが続くと身に泥をくるみ、じっと耐える。そして再び水がくると、泳ぎ出すという不思議な魚らしい。

(……以下、『閑な読書人』晶文社所収)