年明けの読書は牧野伊佐夫著『画家のむだ歩き』(中央公論新社)、それから池内紀著『東海道ふたり旅 道の文化史』(春秋社)でスタート。
牧野さんの本の「ふろ会」というエッセイでは、高円寺の抱瓶、古本酒場コクテイル、唐変木のイラストが入っている。
あと「甲府で家さがし」というエッセイに「晩年は田園のなかに暮らして絵を描きたい」という言葉があった。
わたしも昨年石和温泉あたりの物件を見てきた(今すぐ移住する予定はない)。
甲府も候補のひとつだったが、駅がちょっと大きすぎるとおもった。もうすこしこじんまりとした駅の町がわたしの理想だ。
池内紀著『東海道ふたり旅 道の文化史』は刊行前から気になっていた本だ。
わたしは郷里が東海道沿いで、東京との行き来も東海道線ばかりつかってきた。でも長年、東海道の宿場や歴史のことを知らずにいた。この齢になって、地元のことすら、知らないことばかりだ。知らなかった街道や郷土史について知識が増えていくにつれ、日本の見方もすこしずつ変わってきている。
駅前なんてどこも同じ、ロードサイドはチェーン店だらけ……なんておもっていたが、旧街道を歩くとその印象が一変してしまう。多様性は自分の興味や関心の持ち方にも左右される。
釣りに興味を持つ前は川の魚をほとんど知らなかった(子どものころに釣りをしていた時期もあるが、ほぼ海釣りだった)。知ろうとおもわなければ、見えてこない。
東海道に関しては、静岡から名古屋(鞠子〜宮)、滋賀(土山〜草津)のほうは行ったことのない宿場が多い。
通り過ぎてきた場所に途中下車していくだけでもどれだけ時間がかかるのかわからない。