昼間から酒が飲みたくなるが、ぐっとこらえる。これだけはガマンしている。
二十代半ばのとき、自由業者の友人と将来のことを話していたとき、「昼から酒を飲むのだけはやめよう」という結論になった。
そのころ近所の公園でいつも昼から酒を飲んでいたのである。
やっぱり自制心と向上心だ。
規則正しく、ちゃんとした生活をしたい。自分のコンディションをつねにととのえ、仕事以外の時間はひたすら勉強するような暮らしにあこがれる。
そこで問題になるのは、勉強とはなにかということである。
たとえば、本を読むことは勉強になるのか?
本を読んでいると、勉強しているような気になるが、ひたすら現実逃避しているともいえる。
仕事で昔のことをやるなら、「なぜ今○○なのか?」ということをはったりでもいいから、説得する必要がある。
でも「なぜ今?」といっても、今がいやだから、古本や中古レコードが好きだったりするわけですよ。
もちろん、生誕百年、没後百年といった区切りの年をつかう手はある。
今日二〇〇六年の十月二十日は、坂口安吾の生誕百年である。
あと竹中英太郎も十二月十八日が生誕百年である。
すっかり忘れていたが、吉行エイスケも生誕百年だった(五月十日)。
(……以下、『古本暮らし』晶文社所収)