……『文學界』九月号に「『燒酎詩集』のこと」というエッセイ(エセー)で詩人・及川均について書きました。
《チュウのにおいは鼻をつき。
ぼくら。めでたく。ここにこうしているだけなのだ。
みたまえ。
時空は漠たる一個の物体となり。
みたまえ。
アルコホルに漬かった臓物どもは歓喜して。
焼鳥なども食いたがる。
だいじょうぶ。小銭はまだあるはずだ。
焼鳥もろとも。
ここに。こうして。堪えるのだ。》(「焼鳥もろとも」抜粋/『燒酎詩集』日本未来派、一九五五年刊)
富士正晴編『酒の詩集』(光文社カッパブックス、一九七三年)で、「焼鳥もろとも」という詩を読んで以来、ずっと気になっていたのだけど、及川均がどんな人なのか知らないままだった。
ぼんやりとしかわからない詩人が、自分の中にいて、何かの拍子にこの詩をおもいだす。
《ぼくら。めでたく。ここにこうしているだけなのだ。》
そんなふうにおもいながら酒が飲みたい。