……たまにNHKの「キッチンが走る!」という番組を見る(たいてい火曜日の午後三時すぎからの再放送だが)。
地元の食材を調達し、毎回ゲストの料理人が創作料理を作って、その町や村の人にふるまう。
今回の放送は、群馬県のある村が舞台だった。
かつてはこんにゃく農家や林業で盛んで、村の人口も四千人くらいいた。しかし一九七〇年代以降、人口は減り続け、子どもたちは町に働きに出ていってしまった。
過疎化で学校や病院や商店がなくなる。子どもや若い世代は外に出ていく。
村の人たちは、昔のような活気を取り戻したいと願っている。
でも新しくその村に移り住んだ人が、家族で暮らしていくことはむずかしい。年金があれば、どうにか食っていけるというのが現実だろう。
とはいえ、番組の雰囲気は明るい。これは出演者の杉浦太陽の存在も大きいかもしれない。この仕事に賭けているかんじが画面からも伝わってくる。
わたしの父と母が生まれ育ったところも、いわゆる過疎地である。食い物もうまいし、物価も安いし、そこに暮らす人たちは驚くほど善良で親切だし、旅で訪れる分にはいいところだとおもう。でも住んだら、ちがう。まず、よそ者扱いされる。豊かな自然だけでなく、面倒くさい因習や男尊女卑も残っている。
だから若い人は出て行く。よそから移り住む人もほとんどいない。
次回の放送予告(九月七日、午後八時〜)は、三重県の伊勢志摩。母方の郷里のちかくも出てきそうなので、録画しようとおもっている。