土曜日、今年最初の西部古書会館。初日に行くのは久しぶり。本が重くかんじるほど買うのも久しぶり。
二十代、三十代といろいろ続かなくなってやめたことがいろいろあるが、西部古書会館通いは続けたいことのひとつだ。十九歳から四十七歳の今まで、旅行中をのぞけば、ほぼ西部の古書展には足を運んでいる。
古書会館では、旅創刊65周年記念『昭和の旅』(一九八九年)を買った。武者小路實篤の「旅」(昭和二十二年)が再録されている。
《旅は今迄知らなかつた土地にゆくのが、たのしみなものだ。知ってゐる処へ行つて知つてゐる人に逢うのも、勿論悪くないが、知らない土地を見るのも、実にたのしみなものだ。まだ自分はどうしてもこゝに住みたいと思ふ処に出逢はない》
年々、知らない土地に行く機会が減っている。
古本屋通いもそう。わたしは決まった店に行くことが多い。知っている店のほうが、本が探しやすいからだ。
さらにいうと、ほしい本を買うだけなら、インターネットの古本屋で買うほうが早い。効率がよいこと、早いことに意味があるのかないのか。
余裕をもって仕事をするには、それ以外のことを効率よく片づけるか、やることを少なくするか、そのどちらかの選択をせまられる。
自由で身軽であることを望みながら、その状態を持続するには、ある意味、ストイックにならないといけないのは矛盾しているような気がする。万事矛盾。
ぐだぐだ怠け、ぐだぐだ考えることも、この先、続けたいことのひとつだ。