日曜日、西部古書会館。一九八〇年代に刊行された講談社の「ハウ・ツー・ライト・ブックス」の未入手本が何冊かあった。同シリーズのヘイズ・B・ジェイコブズ著『ノンフィクションの書き方』はライターの仕事をはじめたころからの愛読書だ。ほかにも『ギャグ作家として成功する方法』とか『主婦作家として成功する方法』といった本もある。
今、調べたら『SFの書き方』の古書価がいちばん高いようだ。
海外の文章関係のハウツー本は、技術論が中心で勉強になることが多い。
夕方、ペリカン時代で木下弦二さんのライブ。翌日しめきりの原稿があったのだが、けっこう飲んでしまった。最近、東京ローカル・ホンクではなく、弦二さんのソロのほうがよく見ているかもしれない。
午前中から『小説すばる』の原稿を書く。古書会館で買ったアースキン・コールドウェルの本があまりにもよくて、急遽、変更する。コールドウェルは、ずっとノーマークの作家だった。ごく短い期間であるが、古本屋だったこともある。
徐々に通常運転になりつつあるが、単行本の作業中はなんとなく落ち着かない。
日中は古本屋をまわる時間と本を読む時間と家事の時間を十分にとって、深夜から朝にかけて原稿を書く。
結局、自分のペースを守るほうが、精神衛生によく、作業効率も上がる。わかっていてもうまくいかないものだ。
『ノンフィクションの書き方』の第一章は「書くことを日課に……」には次のような助言がある。
《ライターは修練を積まなければ、なにものも書き上げることはできまい(書くことは、わたしの恩師のハワード・マンフォード・ジョーンズの指摘どおり、「生物学上の基本的欲求ではない」のだ)。だからこそ、書くことを規則的な習慣にしてしまわなければならないのだ。毎日、同じ時刻に書き始め、同じ時刻に終えるという、決められた日課を喜んでこなすことである》
コールドウェルも「週六日、午前九時から午後五時まで仕事をします」と書いている。
わたしはコールドウェルほど規則正しい生活を送っているわけではないが、「時間を決めて書く」のは大事だとおもっている。