2019/09/19

安心と油断

 仕事部屋の引っ越しから二ヶ月ちょっと。つい最近のような気もするし、ずいぶん前のことのようにもおもえる。
 荷物の整理をしながら、自分の興味をどこまで広げるか、あるいは絞るかを考えた。
 大切なこと(もの)は、そんなに多くないほうが、気楽に過ごせる。

 残りの人生——といったら大ゲサかもしれないが、今の仕事がいつまでできるのかわからない。といっても、三十歳のときも四十歳のときもそうおもっていたわけで、この悩みに関しては「わからないままやり続けるしかない」という答えを出している。

 高円寺での生活もまもなく三十年になる。
 ひとつの町に三十年。おそらく、この先、それ以上に長く住む町はないだろう。さすがに高円寺界隈では道に迷わない。

 次の目標は四十年……といいたいところだが、三十五年にしておく。仕事部屋もあと五年くらいはどうにかしたい。

 どんなことでも五年続けるというのは大変だ。でも「週三日、自炊する」くらいの目標でも五年くらい続けると料理の腕はけっこう上がる。味付け云々ではなく、野菜の皮むきとか下ごしらえみたいな手際がよくなる。あまり考えなくてもできる作業が増える。

 仕事でも考えなくてもできる作業が増えていくと、三時間かかっていたことが二時間、一時間ですむようになる。そのことが余裕につながる。ところが、忘れたころに大きなミスをしてしまう。慣れることは大事だが、慣れすぎるのも考えものだ。