2020/01/19

貧乏は不便

 土曜日、外は雪(のち雨)。書くことも書かないことも気が重い。感情が安定していない。
 コタツでごろごろしながら新居格著『心のひゞき』(道統社、一九四二年)を読む。新居格の随筆は寝ころんで読むのに適している。心が落ち着く。

「金について」という一篇にこんな文章があった。

《わたしは時々こんな風にいふことがある。——金のないのが何で恥づべきことであるか。と、いつてのけた後で、「しかし不便ではある」と附け足さゞるを得なかつた》

 たしかにそのとおり。
 新居格は書籍を買う金と自然と親しむ旅をするための金を望んでいた。
 しかし——。

《そんな単純な、金持からいふと大凡吝臭い欲望でさへが金のないためになしえないことが多い》

 本を読み、旅をする。そのためにはお金もいるが、時間も必要である。
 先週高円寺の西部古書会館で大均一祭があった。初日一冊二百円、二日目百円、三日目五十円。二日目と三日目で三十一冊本を買った。二千三百円。買った本を読むひまがない。

 お金がないからできないのか。やる気がないからできないのか。そのあたりの線引きはいつだって曖昧だ。