五月中旬、日中の最高気温二十五、六度。近畿、東海地方はもう梅雨入り。東京も湿度が高い日が続く。洗濯物がなかなか乾かない。
インターネット上の議論に一人暮らしの自炊問題がある。自炊しても食材を無駄にしてしまうし、一人分の料理の手間を考えれば、外食のほうが楽だし得だという意見もある。
最初は調理道具や調味料なども揃える必要がある。
わたしの場合、自炊することが外食するより安く上がるし、それほど苦ではないと実感できるようになるまでには二、三年かかった。肉や野菜を冷凍するようになり、すこしずつ包丁をつかうことに慣れ、煮たり焼いたりのコツがわかってくるのにそのくらいの時間がかかった。
仕事や趣味でもそういう時間差がある。自分に合うやり方、合わないやり方がわかるまでにもそれなりに時間がかかる。
複雑な工程を短時間でこなせるようになるのは、何だって大変だ。
効果を実感できるようになるまでには時間差がある。はじめのうちは失敗や無駄も多いから、ついやらないほうがマシだったのではないかと考えてしまいがちである。わたしも自分の苦手なことはだいたいそうおもう。
努力か才能かは、人類の永遠のテーマである。才能というのは、何かをはじめ、効果を実感する、上達の手応えを感じる早さも含まれる。そのスピードは努力では埋められない。
何かを会得するのは早いけど、飽きっぽくてすぐ次のことをやりたがる人より、地道にこつこつ続けられる人のほうが、安定した力を身につけやすい。地道な作業に楽しさや喜びを見いだせるのも才能といえば、才能だ。
近年「努力は報われるか報われないか」の論議が盛んだが、どういう状態を報われたとするかによって結論もちがってくる。
たとえば、スポーツをやっていて、オリンピックで金メダルをとる、プロの選手としての大成する——みたいなレベルが報われることだとすれば、ほとんどの人は報われない。しかしスポーツを趣味として楽しい時間を過ごす、体力をつける、体型を維持する——あたりが目標であれば、話もちがってくる。
このテーマは精神論と技術論が混ざり合いやすい。そのへんの話も書きたいのだが、眠くなってきたので寝る。