荻原魚雷+パノラマ地図研究会『東海道パノラマ遊歩』(ビジュアルだいわ文庫)が刊行——。
清水吉康の『東海道パノラマ地図』(金尾文淵堂、一九二九年)を文庫の形で復刻し、わたしは日本橋〜神戸までの解説、コラム、キャプション(半分くらい)を担当した。
清水吉康の鳥瞰図は山あり谷あり川あり、東海道の地形が精密に描かれている。
琵琶湖東岸から関ヶ原、大垣のあたりがお気に入り。伊吹山、不破の関——この地が古代から重要な交通の要所だったことがわかる。道の成り立ちは偶然ではない。
巻末付近には菱川師宣の『東海道分間絵図』、吉田初三郎の『近畿東海大図絵』も収録している。
企画・編集は造事務所。
本文デザインを担当したYさん(飲み友だち)に古地図コレクターのHさん(造事務所)を紹介してもらい、今回の企画に参加することになった。
すこし前に『更級日記』や『十六夜日記』を読んでいたときも、清水吉康の鳥瞰図を参照していた。鉄道の路線だけでなく、東海道や中山道、脇往還も描かれている。古戦場の跡地なども記されているので歴史地図としても重宝するでしょう。ぜひ手にとって清水吉康の地図の魅力を堪能してほしい。