2024/11/09

コタツメモ

 南口エトアール商店街、雪の結晶の電飾(星の形もある)。エトアール(エトワール)はフランス語で星の意味。花形スターみたいな意味もある。エトアール商店街、夏の提灯もいい。夜の散歩コース。ついでに西友で買物する。

 中通り商店街はミュージックストリート(土・日二日間)が開催中。散歩中に見る。茶処つきじでほうじ茶を買う。純情商店街の提灯もいい。

 九日(土)の昼、コタツ布団をセットする。電源を入れる。あたたか。ちなみに七日(木)の深夜、飲み屋に出かける前、長袖のヒートテックを着た。貼るカイロはまだつかっていないけど、冬が近づいている。

 手と足が冷えやすい(いわゆる末端冷え性)。手の指が冷えると原稿が書けない。三年前の十一月に神経痛になって以来、体の冷えには用心しまくっている。

 大病や大怪我をしたわけではないが、五十歳以降、身の処し方が安全第一主義になっている。散歩したり、電車やバスに乗ったり、本を読んだり、酒を飲んだり、これまで当たり前におもっていたことが、そうではないと知った。健康だからできるのだ。前は店に三、四時間居座って飲み続けてしまうことがよくあったが、今は閉店一時間前くらいに行き、さくっと帰る(深酒予防)。ウイスキーを飲んだ翌日、神経痛の手前の症状が出るようになり、ビール、ウォッカ、その他、いろいろ試したが、飲みすぎなければいいということがわかった。好きな酒が飲めるように体調を整える。よく歩き、よく寝る。体を冷やさない。あと自分の調子のいいときの体重より増えれば減らし、減れば増やす。

 尾崎一雄の「歩きたい」という小説が好きで、しょっちゅう読み返している。この小説は低迷の底を脱しかけている時期に書いたのではないか。そんな気がする。「冬眠居」の尾崎一雄もそうだが、わたしは寒がりの作家が好きになる傾向がある。古山高麗雄もそう。

 今年も冬を乗りきることが目標である。

2024/11/07

頭に入らない

 三日、朝から掃除。夕方、馬橋小学校盆おどり。ちょこっと顔を出す。クックロビン音頭。両手を前に出すふりしかおぼえていなかった。自分の記憶よりテンポも早かった。

 日本シリーズは横浜優勝。MVPは桑原将志選手。知り合いに横浜一筋のファンが何人かいるのだが、桑原選手の人気はすごい。おっさん野球ファンは体を張ったプレーをする選手に弱い。わたしも弱い。いっぽう自分の生き方に関しては、無理せずケガせず疲れをためず静かに暮らしたい。若いころはこんなに平穏かつ安楽を望む人間になるとはおもわなかった。

 アメリカ大統領選の前に『最後のコラム 鮎川信夫遺稿週集103篇』(文藝春秋、一九八七年)などを再読。『最後のコラム』の「アメリカ連邦議員選挙」(一九八六年)にはこんな記述がある。

《同じ民主国でも、米国の選挙はわかりにくい。すべての点で日本の選挙とはあまりにもかけ離れているから、一度や二度聞いたくらいでは、とても頭に入らない》

《民主党はリベラル、共和党は保守、と考えがちだが、そうした固定観念でみると、しばしば間違いを犯す》

 このコラムが書かれたころのアメリカ大統領はロナルド・レーガンだが、鮎川信夫は「レーガンでさえ、リベラルではないかと疑われるところは、いくらでもある」と述べている。レーガンはハリウッドの労組の委員長をつとめていたこともある。アメリカの共和党の政治家はリベラルからの転向者がけっこういる。

 わたしのアメリカの政治に関する情報の更新は滞っている。日本でアメリカのコラムニストの翻訳が盛んだったのは一九九〇年代半ばまで……。

 ここまで書いて仕事に出かける。外出先でドナルド・トランプの勝利宣言のニュースを見る。結果がわかるのは翌日の朝か昼くらいかなとおもっていた。選挙後、(わたしが見たニュースでは)共和党支持者だけど、トランプに投票しなかった人の意見は取り上げていたが、民主党支持者でカマラ・ハリスに投票しなかった人の意見は報じなかった。そこを取材して掘り下げていれば面白いとおもうのだが。トランプ支持者を「教育水準が低い」「高卒」と指摘する人もいるが、彼らのまわり(親兄弟親戚知人)には中卒や高卒の人がいないのだろうか。いつになったら、こうした発言が有権者の半数以上を占める人たちの強い反感を買っていることに気づくのか。

 そんなことをあれこれ考えながら掃除を続ける。

2024/11/03

神田古本まつり

 ちょっと疲れているときに見る夢なのだが、巨大な駅(名古屋駅っぽい)の構内の地下通路が坂(幅が広い)になっていて、その傾斜がきつくて足が滑って転びそうになる。夢の中で「もっと滑り止めの効いた靴を履いてくればよかった」とおもう。一ヶ月くらい前にも見ている。

 木曜、ワールドシリーズの決勝戦を観て、中野に寄ってから神保町。神田古本まつりのち小諸そば(鳥からうどん)。神田古本まつりは岩波ブックセンターの横の路地が好きなのだが、今年は工事中で半分くらいになっていた。
 今回も「三冊縛り」。『古地図セレクション 神戸市博物館』(神戸市スポーツ教育公社、一九九四年)など。一冊ワンコイン以下の「値段縛り」はよくやるのだが、冊数で縛る買い方もけっこう楽しい。

『古地図セレクション 神戸市博物館』は歌川貞秀の「東海道五十三駅勝景 初編」(一八六〇年)を収録。貞秀の鳥瞰図は『東海道パノラマ地図』の清水吉康と線の感じが似ている。清水吉康の鳥瞰図は、山の描き方などが浮世絵っぽいところある。あと大坂の橘保春の二枚一組の「高野山細見絵図」(一八一三年)は色合と線がかっこいい。木版刷り。橘保春の絵図も大正昭和期の鳥瞰図絵師に影響を与えているようにおもう。絵地図の世界も継承と発展の歴史あり。

「文化遺産オンライン」で橘保春の鳥瞰図を見ることができる。でも紙(図録)で持っていたい。

 街道の研究をはじめたおかげで好きな画家が増えた。一番好きになったのは池田英泉(渓斎英泉)。お墓が高円寺南の福寿院にある。『木曾路の名所・図会 田中コレクション 「木曽海道六拾九次之内」を中心に』(中山道広重美術館、二〇〇一年)はわたしのお気に入りの図録で、この中にも英泉の絵がけっこうある。英泉の街道の絵は、風景だけでなく、宿場で働いている人(遊んでいる人)が細々と描かれているところがいい。人々の表情も面白い。

『木曾路の名所・図会 田中コレクション』所収の作品で、昭和の絵(一九三〇年代)だけど、名取春仙(一八八六〜一九六〇)の版画もよかった。山梨県中巨摩郡(現・南アルプス市)生まれ。春仙、漱石の挿絵(『三四郎』など)が有名だけど、中山道の絵(版画)も描いている。春仙の「恵那八勝」は図録ではなく、直に見てみたい。

 夜、神保町から水道橋駅まで歩き、JR総武線で高円寺に帰る。高円寺駅の総武線の八号車あたりのホーム(阿佐ケ谷駅寄り)で降りると、駅南口のビルの隙間からライトアップしたドコモタワー(NTTドコモ代々木ビル)が見える。昼もよく見える。

 高円寺駅の総武線のホームの阿佐ケ谷駅寄りは、わたしのドコモタワーと(天候に左右されるが)富士山の観測ポイントである。中野か東中野あたりに高層マンションが建ったら、ドコモタワーは見えなくなりそう。

 ドコモタワーといえば、荻窪の古書ワルツの前の道(青梅街道に向かう道)からも見える。古書ワルツの前の道はすこし斜めになっていて、その延長線上にドコモタワーがあり、高円寺界隈の路上よりもよく見える。道の角度、重要である。