ちょっと疲れているときに見る夢なのだが、巨大な駅(名古屋駅っぽい)の構内の地下通路が坂(幅が広い)になっていて、その傾斜がきつくて足が滑って転びそうになる。夢の中で「もっと滑り止めの効いた靴を履いてくればよかった」とおもう。一ヶ月くらい前にも見ている。
木曜、ワールドシリーズの決勝戦を観て、中野に寄ってから神保町。神田古本まつりのち小諸そば(鳥からうどん)。神田古本まつりは岩波ブックセンターの横の路地が好きなのだが、今年は工事中で半分くらいになっていた。
今回も「三冊縛り」。『古地図セレクション 神戸市博物館』(神戸市スポーツ教育公社、一九九四年)など。一冊ワンコイン以下の「値段縛り」はよくやるのだが、冊数で縛る買い方もけっこう楽しい。
『古地図セレクション 神戸市博物館』は歌川貞秀の「東海道五十三駅勝景 初編」(一八六〇年)を収録。貞秀の鳥瞰図は『東海道パノラマ地図』の清水吉康と線の感じが似ている。清水吉康の鳥瞰図は、山の描き方などが浮世絵っぽいところある。あと大坂の橘保春の二枚一組の「高野山細見絵図」(一八一三年)は色合と線がかっこいい。木版刷り。橘保春の絵図も大正昭和期の鳥瞰図絵師に影響を与えているようにおもう。絵地図の世界も継承と発展の歴史あり。
「文化遺産オンライン」で橘保春の鳥瞰図を見ることができる。でも紙(図録)で持っていたい。
街道の研究をはじめたおかげで好きな画家が増えた。一番好きになったのは池田英泉(渓斎英泉)。お墓が高円寺南の福寿院にある。『木曾路の名所・図会 田中コレクション 「木曽海道六拾九次之内」を中心に』(中山道広重美術館、二〇〇一年)はわたしのお気に入りの図録で、この中にも英泉の絵がけっこうある。英泉の街道の絵は、風景だけでなく、宿場で働いている人(遊んでいる人)が細々と描かれているところがいい。人々の表情も面白い。
『木曾路の名所・図会 田中コレクション』所収の作品で、昭和の絵(一九三〇年代)だけど、名取春仙(一八八六〜一九六〇)の版画もよかった。山梨県中巨摩郡(現・南アルプス市)生まれ。春仙、漱石の挿絵(『三四郎』など)が有名だけど、中山道の絵(版画)も描いている。春仙の「恵那八勝」は図録ではなく、直に見てみたい。
夜、神保町から水道橋駅まで歩き、JR総武線で高円寺に帰る。高円寺駅の総武線の八号車あたりのホーム(阿佐ケ谷駅寄り)で降りると、駅南口のビルの隙間からライトアップしたドコモタワー(NTTドコモ代々木ビル)が見える。昼もよく見える。
高円寺駅の総武線のホームの阿佐ケ谷駅寄りは、わたしのドコモタワーと(天候に左右されるが)富士山の観測ポイントである。中野か東中野あたりに高層マンションが建ったら、ドコモタワーは見えなくなりそう。
ドコモタワーといえば、荻窪の古書ワルツの前の道(青梅街道に向かう道)からも見える。古書ワルツの前の道はすこし斜めになっていて、その延長線上にドコモタワーがあり、高円寺界隈の路上よりもよく見える。道の角度、重要である。