2025/03/15

大和町の話

 木曜、御茶ノ水から九段下まで散策。一誠堂書店の店頭にて『ふるさと草子 高野辰之と野沢温泉』(斑山文庫収集委員会編、野沢温泉村、一九八九年)。一誠堂の茶色の袋は丈夫でいい。持ち手の部分がプラスチックなのもいい。高野辰之(一八七六〜一九四七)は唱歌「故郷」「朧月夜」「春の小川」などの作詞家で国文学者。わたしは「故郷」の「小鮒釣りしかの川」問題に関心があり、長野の高野辰之記念館は訪問したいとおもいつつ、まだ行ってない。「かの川」は高野辰之の郷里の千曲川の支流の川の斑尾川という説が有力なのだが、異説もある。

 金曜昼すぎ、西部古書会館。木曜から開催していた。『とり・みきのしりとり物語』(角川書店、一九九六年)など。今回、漫画が充実(ただ、部屋の置き場所問題で買えず)。とり・みきは漫画だけでなく文章もファン。

『しりとり物語』に「居場所置き場所」というエッセイがある。「世の中には二種類の人間しかいない」という有名な台詞を引き、「本を棄てることのできる奴と、後生大事にとっとく奴だ」という話になり、とり・みきの引っ越し後の話になる。

《私はあいかわらず部屋に充満する段ボール箱に押しつぶされそうになりながら仕事している。そしてその内容物のほとんどが本とビデオだ》

 昨年十二月、仕事部屋の引っ越しをした。三ヶ月経って、いまだに部屋の床の八割くらい本の段ボールに埋めつくされている。引っ越し当初は床が見えなかった。三月中に床半分見えるようにしたいのだが、今のペースだとむずかしい。

 掃除の途中、中野区大和町を散歩する。

 一九八九年秋に高円寺に引っ越してきたころ、大和町の銭湯にもよく行った。
 鶴乃湯、藤の湯、若松湯、大和湯……。ほかにもあったかもしれない。当時、住んでいたアパートの近くの銭湯はお湯が熱すぎて入れなかったのだ(その後、入れるようになった)。

 大和町ではないが、野方駅と都立家政駅の間にたからゆという銭湯がある。まだ入っていない。

 大和町の中央通りに「イワン」という飲み屋があった。深夜も営業していて料理もおいしかった。最初は学生時代のライターの先輩(ずいぶん会っていない)に連れていってもらった。大和町を散歩していると、昔の記憶がよみがえる。

 最近、大和町の八幡通りもよく散歩する。環七の八幡前(バス停)から大和町八幡神社、そして蓮華寺、お伊勢の森(バス停)。ちょっと斜めの道がいい。