火曜日、高円寺駅から永福町行のバスで松ノ木二丁目。松ノ木は和田堀公園の近くに松ノ木遺跡がある。『燒酎詩集』(日本未来派発行所、一九五五年)の及川均(一九一三~一九九六)もこのあたりに住んでいた。善福寺川も近い。
《生きてることの徒労のために。
まず一杯。》(「わきめもふらず。ジグザグに」抜粋/『燒酎詩集』より)
サミットストア成田東店に寄り、杉並税務署へ。途中の住宅街でちょっと迷いかけたが、無事、辿り着くことができた。阿佐ケ谷駅から歩くより近い。近いが、道がわかりにくい。ここ数年、迷いそうな道が好きになった。
帰りはパールセンターを通り阿佐ケ谷駅、ガード下を歩いて高円寺に帰る。
病気、ケガをすると健康のありがたみがわかる。自分の暮らす町もそういうところがある。近所の散歩をしていても心のどこかで「いつまでこの町を散歩できるのだろう」という考えが頭をよぎる。健康もそうだが、この先、経済事情を理由に東京を離れることもあるだろう。たぶんどこに住んでも散歩するだろう。
いつまで日常が続くかわからない。ただ町を歩いているだけで貴重なことにおもえる。その心境は老いと関係しているにちがいない。
二十代三十代のころは、今の窮地をしのげば、この先よくなるという根拠のない希望を持てた。五十代になると厳しい状況を乗り越えても、すこし先にもっと大変なことが待っていると薄々わかっているので喜ぶ気持になれない。とはいえ、悲観ばかりしていても仕方がない。
木曜の祝日、妙正寺川、鷺盛橋、蓮華寺の散歩コースを楽しむ。蓮華寺の河津桜は葉桜になっていた。