2025/11/22

錦秋

 散歩中、遠くを見ることを意識するようになって、すこし視野が広がった気がする。見るものが変わることによって、自分の行動や思考も変わっていくかもしれない。
 
 毎年この時期、体調が不安定になる。暖かい日から急に寒い日になるのが苦手だ。逆はいいのだが。それでも自分のパターンを知れば、それなりに対処はできる。体を冷やさないこと、余力を残すこと、よく食べよく寝ること。それができれば苦労はない。

 十一月十六日(日)から四泊五日で三重と高松へ。行きは小田原文学館で川崎長太郎展を見て早川駅まで歩き、小田原の漁港を見る。港はいい。海風が気持いい。早川を歩いているうちに元気になる。
 早川駅から熱海駅までは在来線。この区間は東海道本線の中でもとくに好きな車窓だ。相模湾がよく見える。
 熱海駅〜浜松駅間はこだまに乗る。金券ショップの自販機で買った自由席の切符の日付変更に時間がかかり、乗りたかった電車に乗れなかった。以前も同じ失敗をした。数百円の得のために時を失う。急ぐ旅ではないのでよしとする。

 浜松駅から再び在来線で豊橋駅。旧東海道散策のち名鉄で名古屋駅へ。名駅の地下街をすこし歩く。

 午後七時すぎ、近鉄が遅延。電車が混んでいる。鈴鹿に帰る前に近鉄四日市駅で下車してアピタ四日市店でスガキヤまるごとミニセット(ラーメン、かやくごはん、サラダ、ソフトクリーム)。
 アピタ内の食品売り場でビールとおにぎりと唐揚げを買う。郷里の家のもより駅に降りた途端、目のかゆみとくしゃみ……ブタクサか。漢方(小青龍湯)を持っていたのですぐ飲んだ。効いた。
 翌日は母と港屋珈琲でモーニングのち平田町駅へ。鈴鹿ハンターに行く。ゑびすやの天ぷらうどんとかやくごはんのセットを食べる。ハンター内のブックオフに寄る。カレーハウスDONでカレーを買って帰る。この日はのんびりした。

 火曜、朝から近鉄で伊勢中川駅へ。ちょっとだけ旧初瀬街道を歩く。そこから特急で大和八木駅、あと急行で鶴橋駅に行き、阪神電鉄で尼崎駅へ。庄下川公園ですこし休憩し、川沿いの道を歩く。旅の途中、駅を降りてすぐ川がある町に来ると嬉しくなる。

 近鉄と阪神の直通電車のおかげで神戸方面に行くのが楽になった。その分、JRと阪急に乗る機会が減った。尼崎駅から三ノ宮駅。昼一時半ごろ、高速バスで高松へ。バスは二時間二十分。淡路島のパーキングエリアで休憩中、急に雨が降る。

 高松の中央インター南で『些末事研究』の福田賢治さんと合流し、車で高松ぽかぽか温泉へ。ぽかぽか温泉、大いに気に入る。心身の疲れがすっと抜ける感じがした。とくに足の疲れがよくとれる。日々の散歩の効果かどうかはわからないが、足の疲労度に関しては若いときより鋭敏になったとおもう。
 
 翌日、福田さんと小豆島行きのフェリーに乗る(今年二度目)。『些末事研究』の座談会(今年二度目)。にわとりの首まわりの肉をそぐ作業などをした。
 帰りは高松港からすこし歩いた繁華街で飲む。活気のあるいい店だった。夜、仏生山温泉。岩盤浴をしていて寝そうになる。

 十一月二十日(水)、昼前、仏生山駅のあたりを散策し、高松空港まで歩く。讃岐国一宮の田村神社に寄る。滋賀(土山宿)の田村神社と関係ある神社なのかなとおもっていたが、ちがった。神社もおもっていた感じとちがった。なんといったらいいのか、シンプルの逆。
 香川の田村神社に全国の一宮の表があった。歌枕めぐりもそうだが、一宮めぐりという旅のジャンルもある。

 途中、高松空港まで九キロという標識あり。ちょっと寄り道しても空港まで三時間くらいか。琴電の一宮駅近くの団地(不思議な形をしていた)を見たり、香東川の川沿いの道を歩いたり、大野石清水八幡神社に寄ったり、さぬきフラワーガーデンを散策したりして、なんだかんだと五時間以上歩いた。日没には間に合った。

 空港に着くと成田行きの飛行機(二十時四十分発)が三十分遅延。成田空港に着き、急いで京成のアクセス特急に乗る。途中、知らない駅ばかりで不安になる。時間も読めない。最終の電車でどうにか日暮里駅に到着した。そこから山手線で新宿駅までは行けたが、三鷹駅の終電(〇時三十五分)は間に合わず、中野駅から高円寺駅まで歩いた。この日、万歩計の歩数は三万五千歩ちょっと。よく歩いた。

 京成本線の青砥駅を過ぎたあたりで五十六歳になった。