2010/03/23

みちくさ市

 昼起きて、みちくさ市。うっかり東京メトロ東西線直通に乗ってしまい、高田馬場から副都心線の西早稲田に乗り換え(乗り継ぎ料金にならないのだが)、雑司ケ谷に。来るたびにおもうのだが、鬼子母神商店街、東京というかんじがしない。といって、どこなのかと聞かれても、返答に困る。
 会場で本の雑誌の宮里さん、アホアホ本の中嶋さんと待ち合わせ。ぐるっと古本を見て、それから仕事の打ち合わせをする。
 池袋古書往来座に寄って、サンシャインシティ大古本まつりに行く。宮里さんは、昔、アルバイトでサンシャインの古本まつりを手伝ったことがあるという。しかし、三人揃ってサンシャインの中で迷う。

 深沢七郎著『流浪の手記 風流夢譚余話』(アサヒ芸能出版、一九六三年刊)が買えたのは嬉しかった。単行本と文庫はもっているのだが、この新書版(平和新書)は未入手だった。
 知り合いの古本屋さんには「たまに見るよ」といわれていたのだが、すくなくとも、わたしは店の棚に並んでいるところを見た記憶がなかった。『流浪』三点セット(新書・単行本・文庫)が揃うと、願い事がかなうらしい。おもいつきを書いてみた。

「風流夢譚」事件後の放浪生活を綴ったエッセイが収録されている本なのだが、「書かなければよかったのに日記」「言えば恥ずかしいけど日記」など、『言わなければよかったのに日記』(中公文庫)に通じる深沢七郎の日記シリーズも読める。

「言わなければよかった」「書かなければよかった」とおもうことをどう書くか。ただ、あけすけに書くのではなく、躊躇したり、恥じたりしながら書く。
 深沢七郎はそのさじ加減が絶妙に狂っていてすごいとしかいいようがない。
 タイプはちがうけど、色川武大もそうかもしれない。

 ただ、深沢七郎や色川武大を知って、もっとこういう作家の本を読みたいとおもっても、なかなか見つからない。ほとんど行き止まりというかんじもする。まあ、わたしが停滞しているだけともいえる。

 読書の快楽は、読むタイミングにも左右される。
 深沢七郎は、まだ文学の免疫がついていないころ、金がなくてひまで活字に飢えていたころに読んだせいか、感激も大きかった。
 未知の作家、未知のジャンルを追いかけいるうちに、すれた読者になってしまうような気がする。

(お知らせ)
 ブックマーク・ナゴヤのリブロ大古本市、開催中。
 来月四月四日(日)は月の湯古本まつり。文壇高円寺古書部も参加します。