土曜日、古本酒場コクテイルがリニューアル・オープン。午後七時、飲みに行く。まだ未完成だというが、いい店になっていた。座敷席もあって「鍋ができるね」と盛り上がる。あっという間に満席になり、帰ろうとおもうたびに、次々と常連客があらわれ、つい閉店時間まで飲んでしまう。居心地がいい。
ふらふらになって帰宅する。
日曜日、家にこもって仕事する。毎日新聞と『小説すばる』の原稿を書く。夕方、西部古書会館に行く(昨日も行った)。ここのところ、さかえ書房のシール付の本をよく見かける。
すでに持っている梅崎春生の本、さかえ書房のシ−ル付を見てほしくなって買う。
仕事のあいま、河野仁昭著『天野忠さんの歩み』(編集工房ノア)を読む。
百貨店や出版社で働いたあと、天野忠は京都で古本屋をはじめる。自分の蔵書八百冊を店に並べたところ、めぼしい本はあっという間に同業者に買われてしまった。店をはじめるにあたって、何の準備もしていなかったようだ。
その後、古本屋をたたんで、奈良女子大の教務課を経て、大学附属図書館の仕事を二十年くらい続けた。
《天野忠さんの退職は定年退職ではなかった。定年までにあと一、二年残っていたはずですが、勤務年数が年金をもらえる年数に達したから辞められたのです。なぜ辞めたのかというと、詩を書くことに専念したかったからです。年金で生活はなんとかやっていけるという条件がととのったわけです。わたしが知っている詩人ではNHKにつとめていた黒田三郎さんがそうでした》(天野忠さんの詩と晩年)
天野忠と黒田三郎、ふたりとも好きな詩人なのだが、人物像がまったく重ならない。
月曜日、夕方六時に起きて、午後九時すぎにコクテイル。またカウンターで古本を売らせてもらうことになった。水割四杯。もつ煮を食う。
すこし前に来ていたアスペクトの前田君としゃべる。
コクテイルの新しい店舗の場所がある中通り商店街のちかくには、一九八九年の秋から九八年の秋くらいまで住んでいた。当時はガード下を通って阿佐ケ谷にもよく行った。