2010/11/18

黒岩比佐子さん

 昨日、午後三時すぎ、二日酔いで新聞社に顔を出した途端、訃報を聞かされた。
 その前後の記憶が飛んだ。
 気がついたら、ふらふらと神保町を歩いていた。

 黒岩比佐子さんとはじめて会ったのは、五反田の古書会館である。古本仲間数人と戦利品をかかえ、ハンバーガーショップに行って、お互い、自己紹介をした。
 どんな紹介だったかは忘れてしまったが、わたしは「伝書鳩の人」とおぼえた。
 収入のほとんどを資料代に費やしているという話も聞いた。

 つい数ヵ月前、「『パンとペン』って『活字と自活』みたいなタイトルでしょ」と話しかけられた。

 黒岩さんは、明治大正の世界を自在に見聞きできる貴重な目をもっていた。まだまだいっぱい書きたいことがある人だったし、書いてほしかった。
 でも古本を通して年齢の倍以上の時間を生きたとおもう。そうかんがえてやりきれなさを誤魔化そうとしてみたが、無理。

 また飲んだ。二軒目の店でNEGIさんと会った。