……おとのわ終了後、打ち上げに顔を出す。それから近くで飲んでいた古本酒場コクテイルの常連のS君と合流し、この日もつるまきに宿泊する。
翌日、S君と火星の庭に寄る。このあとレンタカーで宮城の沿岸部をまわるというS君と別かれて、わたしは郡山に行く。
郡山は三年八ヶ月ぶり。町の雰囲気はあまり変わっていない気がした。
駅ちかくのビジネスホテルに荷物を置いて(部屋番号は「311」。おとのわに出演していた小野一穂さんが二日前に泊った部屋と同じかも)、ひさしぶりにてんとうふの本店に行く。ダンボール一箱分くらい古本を買う。
郡山の町をぶらぶら歩いていると、そこにいると何の問題もないような気がしてくる。
地元のテレビを見ていたら、「復興」「風評被害に負けるな」というフレーズを何度も聞いた。その頻度は東京の比ではない。
今の心境を述べれば、原発事故の影響を「たいしたことない」とおもいたくなってきている。たぶん安全バイアスの一種だろう。
仕事がたてこんでくると、世の中のことにまで気が回らなくなる。気力と体力を消耗したくないおもいから、あたりさわりのないことしかいわなくなる。
小心と保身をなんとかしないと、どんどんつまらない人間になる。
(この件については、時間ができたら、もうすこし掘り下げてみたい)
夜はTHE LAST WALTZという店で東京ローカル・ホンクのワンマン。店に入ったとたん、いい音でザ・バンドの曲がかかっている。
前日のおとのわの打ち上げでも同じテーブルだったテリーさんとホンクのライブを見る。
『さよならカーゴカルト』収録の複雑な構成の曲をきっちりした演奏するかとおもえば、変幻自在というか遊びもあって、毎回おもうことだが、すごいものを見ているな、と。
店の雰囲気もよくて、料理もうまくて、ライブのない日にも飲みに行きたいとおもった。