2013/06/17

みちくさ市 五っ葉篇

 先月のみちくさ市で仙台のbook cafe 火星の庭の前野久美子さんとのトークショーのときに一ヶ月ちかくにわたる往復書簡を配付しました。
 話は脱線がばかりしていたのですが、その中でこれから考えてみたいことを書いたので、一部引用します。

《それから書店、古本屋だけでなく、出版の世界も自分が想像していた以上の過渡期にきているとおもえるんですね。
 この連休中、青空文庫をはじめとする電子書籍の無料本のタイトルを追いかけていました。二〇一三年五月現在、四万六千五百タイトルちかくあります(一万タイトルちょっと目を通したところで挫折しましたが……)。
 漱石鷗外露伴、宮澤賢治、太宰治、坂口安吾、あるいは夢野久作といった人気古典作品のほとんどが無料で読めます。
 この先、こうした無料の作品にどう対処していけばいいのかというのは、途方に暮れる問題です。書き手の問題としては、今まで通りの定価の単行本を出して、はたして買ってもらえるのだろうか。
 もしかしたらインターネットや電子書籍の事情に詳しい人からすれば、今さらの話題なのかもしれませんが、中里介山の『大菩薩峠』が無料で読めると知ったときはショックでした。
「紙の本でなければ絶対にいやだ」という人ならともかく、もし自分が貧乏学生のときに、電子書籍があったら、ひたすら無料本を読み漁っていた可能性があります。
 書店や古本屋に行かない人に本の魅力を伝えていくにはどうすればいいのか。
 そういったところが、最近のわたしの関心事です》

……というわけで、来月、またみちくさ市のトークショーをやります。
 今回のゲストは『痕跡本のすすめ』(太田出版)の著者で、愛知県犬山市の古書五っ葉文庫の古沢和宏さん。
 初対面のとき、古沢さんに酔っぱらって「東海地方のスターになれ」といいました。わたしは本気でそうおもっています。

 それから「痕跡本」は、電子書籍に対抗できる古本ではないかと。
 あとわたしの予想では四六判ではない変形単行本も出版物としての価値が上がる気がします。
 当日、どんな話になるのかはわかりませんが、おそらく古沢さんがひたすら喋るトークショーになるでしょう。

■日時 2013年7月15日(月・祝日)
■時間 15:30~17:00(開場15:10~)
■会場 旧・高田小学校 ランチルーム
MAP> http://kmstreet.exblog.jp/i4/
■定員 30名
■入場料:1000円 ※当日清算
詳細は、http://kmstreet.exblog.jp/18596687/