2013/11/25

近況

 気温の変化にからだがついていかない。
 部屋にいる時間が長くなる。
 経験上、からだのためには寒くてももうすこし外出して歩いたほうがいいのはわかっているのだが、心がそうおもわない。

『エンタクシー』の最新号の重松清の「このひとについての一万六千字」が山田太一。最近、山田太一のインタビューをよく見かける気がする。
 坪内祐三の「あんなことこんなのこと」の第6回は「中川六平さんのこと」だった。

 特集が「『風立ちぬ』の時代と戦争」で、小沢信男の「賛嘆『風立ちぬ』」も読みごたえがあった。
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 近況をいうと、あいかわらず、漫画ばかり読んでいる。すこし前に、犬村小六原作、小川麻衣子作画『とある飛空士への追憶』(全四巻、小学館)という漫画を読んで、「ジブリっぽいな」とおもった。
 まったく知らなかった作品なのだが、もともと原作の小説がかなり話題になっていたらしい。
 ストーリーはシンプルで、底辺階級出身の飛行機乗りが、敵の包囲網をかいぐぐって、次期皇妃を皇子のもとに送り届けるという話である。架空の国が舞台なのだが、太平洋戦争の戦史をおもわせるような箇所も描かれている。
 漫画を読んでから小説も読んだ。シリーズもので、まだぜんぶは読んでいない。書店の文芸の棚にあったら、もうすこし早く気づいていたかもしれないが、それをいってもしょうがない。

 一九九八年〜二〇一三年くらいの漫画は、空白領域が多く、今年はそれを埋める年になった。当然ながら十五年の空白は一年では埋まらない。

 読んでいなくて不覚とおもった漫画は石黒正数の『それでも町は廻っている(通称“それ町”)』(少年画報社)もそう。
 アニメにもなっていたのだが、知らなかった。今年の夏、たまたま聴いた北海道在住のインターネットラジオのDJが『それ町』のことを熱く語っていて、試しに読んでみた。商店街を舞台にしたギャグ(ユーモア?)漫画なのだが、登場人物が話ごとに錯綜し、すこしずつキャラクターに血肉が通ってくる。たいして意味のないシーンに後の話に出てくる人物がさりげなく描かれていたり、読み返さないとわからないような仕掛けが無数にはりめぐされている。宇宙人や幽霊や謎の怪物が出てきても、何事もなかったかのように日常にもどる。そのすっとぼけたかんじも絶妙。ハマる人はハマる作品だとおもう。

 同じ作者の『木曜日のフルット』(秋田書店)もすごくよかった。
 こちらも「今さら」なのだろうけど……。