2018/06/05

ほどほど本

 共同通信の連載「『ほどよさ』の研究」がもうすぐ最終回(先月あたりから、ぼちぼち掲載がはじまっている。隔週掲載の新聞もあるみたいです)。

 新刊案内を見ていたら池田清彦著『ほどほどのすすめ 強すぎ・大きすぎは滅びへの道』(さくら舎)が六月七日刊行予定になっていた。あと保坂隆著『人生を楽しむ ほどほど老後術』(中公文庫)が六月二十二日刊行予定。

「ほどほど」というタイトルの本を調べてみたら、群ようこ著『ほどほど快適生活百科』(集英社)、野宮真貴著『おしゃれはほどほどでいい 「最高の私」は「最少の努力」で作る』(幻冬舎)、中村メイコ著『ほどほど、二人暮らし』(PHP文庫)、深澤真紀著『「そこそこ ほどほど」の生き方』(中経の文庫)、前田昭二著『ほどほど養生訓 走れる100歳をめざす』(つちや書店)、齋藤孝著『図解養生訓 「ほどほど」で長生きする』(ウェッジ)、香山リカ、橘木俊詔著『ほどほどに豊かな社会』(ナカニシヤ出版)、横森美香著『「ほどほど」のススメ』(中経の文庫)、曽野綾子著『「ほどほど」の効用 安心録』(祥伝社黄金文庫)など、かなりあることがわかった(上記以外にもまだまだある)。

「ほどよさ」にしても「ほどほど」にしても個人の感覚によって意見が分かれる。「ほどほど本」をすべて読んでいるわけではないが、深澤真紀著『「そこそこ ほどほど」の生き方』(中経の文庫)は共感するところが多かった。この本、単行本のときは『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』(光文社)という題名だった。

《家や車やパソコンのように、自分をメンテナンスして長持ちさせる》

 深澤さんは「無理矢理に『ポジティブ』や『前向き』になろうとしない」と助言する。別に「ネガティブ」になれという意味ではない。

《日常では「そこそこほどほど」に生きて、いざというときにがんばればよいのです》

《大きなトラブルになるのを防ぐためには、途中で休んだり、逃げたり、ちょっとした嘘をつくことも大事なのです。
 具合が悪いのを放っておいたり、無理をしてがんばった結果、重い病気になって、かえって周囲に大きな迷惑をかけるくらいなら、少しだけ迷惑をかけることになっても、初期の段階で休んだり、病院に行ったほうがよいのと同じことなのです》

 仕事にしても家事にしても人間関係にしても、無理なく続けられるやり方、あるいは力の抜き方を見つける。
「しんどいなあ」とおもったときは、今の自分がやっていることを一つか二つやめるという手もある。

 たぶん色川武大の「欠陥車の生き方」にも通じるとおもう。