2021/06/25

そのへんのアクタ

 グーグルの検索で「と」を入力すると「東京コロナ」が一番上にくる。
 二十五日、都内の感染者数は五百六十二人、連日、前週の同じ曜日より百人以上の増加――まだまだ収束の見通しは立たず、というか、急激にものすごくひどい状況になる心配はないが、よくなりそうな気配もない。

 手洗い、うがい、マスク、密を避けるという感染症対策だけでなく、日々の栄養と心身の休養も大切だろう。気晴らしは大事だ。

 稲井カオル『そのへんのアクタ』(白泉社)は、地球外生命体と人類の存亡をかけた戦いが膠着状態に陥った日常を描いた漫画——。鳥取県が舞台なのだが、鳥取支部そのものが元ドライブインがあった場所が基地になっている(隣はレストラン)。赴任した元英雄の芥は、犬の散歩をしたり、隊員のための夜食を作ったりする。人類滅亡の危機は去ったが、人々は「終わりそうで終わらないでもちょっとだけ終わりそうな世界」に暮らしている。

《しかし私達はどんな時でも毎日を過ごしていかなくてはいけません》

 いっぽう地球外生命体による侵略よりも少子高齢化の人口減のほうが深刻という日本の現実が見え隠れする。

 おそらく新型コロナが収束しても日本の人口は減り続け、地方の衰退も止まらない。解決の難しい問題を抱えながら、「そのへん」の人として食って寝て働いて遊んで生きていく。そういう生き方はありかなしか。わたしは「あり」派だ。