2021/06/06

途中でやめる

 金曜日、荻窪、古書ワルツ。そのあと木下弦二さんのCD(『ノッス・ノイズ』)をペリカン時代に届け、アイスコーヒーを飲みながら聴く。ノンアル営業なので喫茶店にいるような気分になる。

 家に帰ると山川直人さんの『はなうたレコード』(平凡社)が届いていた。「ウェブ平凡」に連載していた作品。毎回楽しみに読んでいた。散歩のついでに古本屋と中古レコード屋に寄って、喫茶店で珈琲を飲んで——といったかんじの日々の暮らし。つつましいけど、都会の贅沢ともいえる。「夜の散歩」の回、ライブハウスっぽい場所の地下の階段に「〜ピンポンズ」「〜野清隆」「吉上恭太」といったチラシが貼ってある。山川さんの漫画は細かい遊びや描き込みが多い。表紙もレコードのジャケット風でカバーを外すと……。

 土曜日、昼すぎ、東中野まで散歩し、夕方、ひと月ちょっとぶりの西部古書会館——。
 街道資料、文学展パンフ、ヤクルト・スワローズの一九九二年の優勝記念の写真集などを購入する。街道本に関しては集めても集めても「道半ば」という気持になる。

『些末事研究』の最新号(vol.6)の特集は「途中でやめる」。昨年十一月、京都の飲み屋で座談会を行った。たまたま店に「途中でやめる」の山下陽光さんがいて(リメイクした古着の展示販売をしていた)、途中から座談会に参加し、そういう話になった。メンバーは山下さんの他、福田賢治さん、東賢次郎さん、世田谷ピンポンズさん、わたし。久しぶりに酔っぱらって、妙なトーンというか、酒癖のわるいおっさんみたいな喋り方になっている。山下さん、面白い人だったなあ。半年前の話だが、楽しい一夜だった。

 京都では哲学の道と奈良街道などを歩いた。時間に余裕があれば、鞍馬のほうの街道も歩きたかった。

 わたしは現役のころに京都の私大に落ちて、一浪して東京に出てきた。とはいえ京都でも東京でも散歩して古本屋に寄って喫茶店で珈琲を飲んでという日々を送っていた気がする。