毎年一月二月は生活のリズムが不安定になる。
伊藤比呂美著『たそがれてゆく子さん』(中公文庫)所収「不眠」というエッセイに「昆布の薄皮」という言葉が出てくる(二〇二二年一月十一日のブログでも紹介した)。
《頭のシワに、さば寿司にかかっているような昆布の薄皮がぴったり貼りついた気分である》
この数年、わたしは晴れの日一万歩(雨の日五千歩)の散歩を続けている。腰のあたりに貼るカイロもつけている。汁もの、炒めものにしょうが入れる。肉を食う。酒を減らす。睡眠をとる。
冬対策はそれなりにやっているのだが、それでも「昆布の薄皮」状態になる。今年もなってしまった。
一月二十三日、二十四日、二十五日の三日間——朝寝昼起、昼寝夜起、夜寝朝起と睡眠時間がズレ、体が重く、頭がぼんやりする日が続いた。
わたしはこの状態を「冬の底」と呼んでいる。
古くなったバッテリーみたいなもので、こまめに充電していてもすぐ残量が数パーセントになる。不調時に焦ってもしょうがない。今は修復期くらいの気持でだらだら過ごすしかない。
二十代のころはこの体内電池の残量が五%くらいになっても一晩寝ればフル充電状態に回復する。
四十代五十代になると電池の残量がわずかになると回復に三日、ヘタすると一週間くらいかかる。
冬に体調を崩す人が多いのは日照時間が短いとかいろいろな説があるけど、寒中、体温の維持のため、普段以上にエネルギーをつかっているからではないか。体を冷やさず、ちゃんとメシを食い、よく寝る。冬を乗り切るにはそれしかない。