十二月五日(金)、昼すぎ、散歩に出かける。歩きはじめてすぐ西部古書会館で歳末赤札古本市(木曜から)が開催中だったと気づく。財布に千円ちょっとしか入ってなかったので郵便局に寄る。
『古地図・浮世絵にみる開港名品展 初公開立正大学田中啓爾文庫』(浮世絵太田記念美術館、一九八七年)、荒畑寒村、向坂逸郎著『うめ草すて石 思い出の人びと』(至誠堂、一九六二年)、『笑う死者 岡本潤詩集』(国文社、一九六七年)、安田武、江戸文化研究室『老舗考』(アドファイブ出版局、一九八〇年)など。『開港名品展』の図録——収録されている横浜や長崎の地図(鳥瞰図)が素晴らしい。船の絵も緻密。街道と古地図と絵巻の図録を集めているが、事前にどんな図録があるのか調べていない。知らないまま集めている。
田中啓爾(一八八五〜一九七五)は地誌、人文地理学の大家。享年八十九。
《古地図の利用は田中啓爾先生の研究の特長でもある。そのため古地図収集に大変な努力を続けられた。つねづね古地図情報(地域に関係する本も含む)に関心を持ち、古地図市、展示即売会などの情報が入ると、その前夜は早めに床につき、体調を整えて時間前に会場に出かけ行列された。開場と同時に走り、誰よりも早く会場を一巡しながら目ぼしいものを指定して購入した》(稲永幸男「田中啓爾先生と地誌」/『開港名品展』)
田中啓爾先生は地理の巡検も熱心だった。
《同じ場所を定期的に巡検することで現象関係とその変化を知る。そして地理哲学を背景とする地理的理念が明らかになる》(同上)
地理学の巡検、面白そう。わたしは即売会にいっても「開場と同時に走り」という意欲を失って久しい。それでも古本屋、古書会館通いは続ける。続けたい。歳月の積み重ねによって見えてくるものがある。読書もそうだし、散歩もそう。
街道の研究……しょっちゅう迷走しているし、時間や金や体力の問題で行き詰まっている。全体を広く知りたいという気持と狭い地域を掘り下げたい気持がある。その両立がむずかしい。
古書会館のあと、東高円寺へ。高円寺東公園、高円寺天祖神社、蚕糸の森公園などを回る。高円寺東公園のイチョウは葉が散っていた。
夜、今年最後の満月見る。コールドムーン。東急ストアで小籠包を買う。
六日(土)、大和町中央通りを歩いて中野区大和区民活動センターに寄り、大和北公園のイチョウを見る。ここ数日がピークか。大和町八幡神社、環七の歩道橋を渡り、大新横丁商店街を抜け、中野区立早稲田通り公園のイチョウを見る。
そのあと中央線の線路の方向に進んでいたら、高円寺北一児童遊園という小さな公園があった。何度か通っていたが、公園の名前を知らなかった。
徒歩圏内でも知らないことだらけだ。