忙しいわけでもないのに時間がほしいなあとおもう。忙しい人ならもっとそうおもうだろう。とはいえ、時間があったらなにをするのかというと、結局、ぼーっとしたり、散歩したり、掃除したりするだけだ。そういう時間がもっとほしいのだ。いくらあってもいい。
用もなく電車に乗って、あまり知らない町の古本屋に行ってみたい。そういうことを最近あんまりしていない。どうしても神保町とか早稲田とか中央線沿線の中野駅から吉祥寺駅間とか、いちどに何軒も古本屋をまわれるところばかり行ってしまう。知らず知らずのうちに効率主義に毒されているようだ。
知らない町の古本屋をたずねたら、その日が定休日で閉まっている。しかたなく、商店街を歩きまわって、どうってことのない喫茶店でコーヒーを飲んで、百円ショップをのぞいて、別にそこで買わなくてもいいようなものを買って帰るなんていうのも、わるくない気がする。
帰りの電車で「なんだかなあ」とおもうのだけど、すくなくとも家でごろごろしているよりはましな一日といえるのではないか。