日曜日の駅前の薬局で「温楽」(衣類に貼るカイロ)を「箱」買いする。去年から、外出時には欠かせなくなった。三十個入りで六〇〇円くらいなので一個二〇円。年間九〇個つかうとして、一八〇〇円。このカイロのおかげで、二、三回は風邪をひかずにすんでいるかもしれない。
昼前に西部古書会館に行く。少年サンデー編集部=編、根岸康雄=取材・文『オレのまんが道』(全二巻、小学館)を買う。「温楽」三十個分とほぼ同じ値段だった。まんが家のインタビュー本なのだが、刊行年が一九八九年、一九九〇年ということもあって、今となっては貴重な本になっている。
なかでも若いころの浦沢直樹が「ぼくは売れることがまんが家としての第一条件だと思う」という発言は興味深い。
かけだしのころ、編集者から「いい作品だけども、これじゃ売れない」といわれた浦沢直樹は、いちから漫画の勉強をしなおそうと決意する。
《半年間ペンを持たずに、バイトのかたわら本を読みまくり、映画を見まくった。その中で、自分にとって面白いものはどれだったか、逆に面白くないものはどれか、ベストテンみたいに並べて、自分の中でメジャー性を捜す作業をしたんです》
(……以下、『活字と自活』本の雑誌社所収)