夜中、さそうあきらの『マエストロ』三巻(双葉社)を読んだ。
『漫画アクション』の連載が中断し、web連載していた作品だ。交響楽団が解散して、音楽や生活に行き詰まっていた音楽家たちが、ひとりの指揮者によって変わっていく。絵の中に、自分の想像をこえた理想の音がある。
読み終えたあと、今の自分には、かんじとるのことのできない理想について考えてしまった。「近づく」とか「たどりつく」とかではなく、ずっと先にある理想は、考えていても見えてこないような気がする。
『マエストロ』に出てくる「天才」といわれるような指揮者は、一歩間違えば、人格および生活破綻者になりかねない、そんなギリギリのところで音楽に打ち込んでいる。