28日(月)、火星の庭の前野さんに萬葉堂書店の泉店を案内してもらう。
萬葉堂書店は、鈎取店、泉店ともに文庫の均一がすばらしい。均一以外の文庫もほとんど定価の半額。二店で文庫本を三十冊くらい買ったかもしれない。
単行本も吉行淳之介監修『マジメなマジメなドジな話』(スポニチ出版、一九八二年刊)、山本容朗著『作家の食談』(鎌倉書房、一九八〇年刊)、臼井吉見著『近代文学論争』(上下巻、筑摩叢書、一九七五年刊)、『現代にとって文学とは何か』(読売新聞社編・発行、一九七一年刊)など。
『マジメなマジメなドジ話』は、『世界ドジくらべ』と『世界ドジドジくらべ』の二冊から「よりドジ加減の強いものを選び出したうえ、新たに数話加え」た本だそうだが、はじめて見たよ。カバーは畑田国男。
『現代にとって文学とは何か』の執筆者は武田泰淳、辻邦生、曽野綾子、黒井千次、後藤明生、河野多恵子、柏原兵三、加賀乙彦、有賀頼義、立原正秋、遠藤周作、石原慎太郎、磯田光一、中村光夫、山本健吉、小田切秀雄、進藤純孝、佐伯彰一、奥野健男、森川達也、久保田正文、秋山駿、川村二郎、松原新一。
昔のアンソロジー本は、見つけたら買っておく。単行本未収録作に当たる可能性も高いし、これまで読んだことの作者の文章にふれるきっかけにもなる。
萬葉堂書店の泉店の最大の収穫は、『太宰治7』(洋々社、一九九一年刊)という雑誌。
背表紙に「古山高麗雄に聞く 太宰治の戦争と平和」とあり、見た瞬間、ああーっと声が出そうになった。
古山さんは仙台の第二師団に招集されるのだけど、そこで太宰治の弟子の戸石泰一と出あう。文学青年同士、すぐ親しくなって、古山さんは戸石泰一の家にも遊びに行っていたという。
このインタビュー記事についてはまた後日くわしく紹介したい。
そのあと、ビブロニア書店とS(エス)という店に連れていってもらう。いずれも前野さんに教えてもらわなければ、自分では行けそうにないところにある。
ビブロニア書店では、『コロンブスの贈り物』(ダイヤモンド社、一九九一年刊)というアフィニスクラブという愛煙家の会が編集したアンソロジー集を買う。この本も執筆者がおもしろい。永倉万治、亀和田武、都筑道夫、小峰元など。
S(エス)は、古いビルの二階にある看板も何もない店なのだが、二十年くらい続いている地元の古本好きのあいだでは有名な店らしい。
金井美恵子著『ながい、ながい、ふんどしの話』(筑摩書房、一九八五年刊)、『コミック・ボックス 特集「ガロ」編集長 長井勝一氏のある日』(一九九六年刊)など。あと某画伯のTシャツも買った(プレゼント用)。
この日、オグラさんのライブのある沖縄館「島唄」に行く前に萬葉堂書店の五橋店にも寄る。
ちょっと本を買いすぎたか。まあいいか。
とりあえず、行けるところまで行ってみようとおもう。今は。
(……続く)