2008/11/12

むずかしいところ

 歯の治療終了。三回ですんだ。歯石もとってもらった。以前、同じような治療で五回通ったことがある。
 それから歯石とりは、痛くて血も出てすごくいやなのだが、今、機械でやるんだね。まったく痛くなかった。
 たぶん、いい歯医者だとおもう。でもあまり客はいなかった。帰りぎわに予約表みたいなものを見たけど、まっしろだった。ひょっとしたら混んでないから、丁寧にやってくれたのだろうか。
 評判のいい歯医者は混む。その結果、治療時間が短くなり、行く回数が増える。その分、金もかかる。面倒くさい。

 今回の歯医者が、評判になって忙しくなったら、今回のような治療が受けられなくなるかもしれない。しかし繁盛しなければ、潰れてしまうかもしれない。
 むずかしいところである。

 これは飲み屋とか喫茶店にもいえる。
 混んでいる店はつい敬遠してしまう。それでゆっくり酒が飲める店、本が読める喫茶店に行く。ときどきこの店、こんなに客がいなくて大丈夫なのかと心配になる。
 とはいえ、のんびりしていた店が評判になって、忙しい店になってしまったら、複雑な気持になる。

 新刊で窪島誠一郎著『戦没画家 靉光の生涯』(新日本出版社)という本が出ている。池袋モンパルナスもの。気になる。
 今月の新刊といえば、色川武大の『遠景 雀 復活』(講談社文芸文庫)は買わないわけにはいかん。『虫喰仙次』(福武文庫、単行本は『遠景 雀 復活』という題だった)と同じかなとおもったら、「九段の杜」「疾駆」という短篇が増えていた。

「疾駆」という短篇の書き出しはこう。

《池袋のはずれに、今はもう建物に埋まっているだろうが、雑司ヶ谷という疎林を点々と含む大きな原があって、小学生の頃に学校をサボリ休みしてよく行った》

 池袋往来座の瀬戸さん、ぜひ読んでください。